青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

土の香りのする電車

2016年11月30日 19時00分00秒 | 大手私鉄(関東)

(最後まで残った@宗吾参道駅駅名票)

LSE撮ったりロクヨン追っ掛けたりして秋の私鉄10社スタンプラリーを後回しにしていたら、子供から催促が来た。そう言えば最後のチェックポイントを1つ残していたのであった。1つくらいだからいつでも行けんべなんて思っていたのだが、行こうとするとなかなか気が乗らない場所。去年も京成は東成田なんてゆーメンドクサイ事この上ない場所にチェックポイントを置いていたのだが、今回もそう遜色ない面倒な場所であった。宗吾参道なあ。家から2時間半かかったぞ。で、京成のダイヤとかあんまよく知らんのだけど、佐倉から先は日中20分間隔なのね…

 

ここまで来るのに2時間半、スタンプ押すのはほんの一瞬。めでたく今シーズンも私鉄10社スタンプラリーをコンプリートです。まあ今後相当の理由がない限りは宗吾参道の駅を目的として来ることはないのだろうから良い経験ではある。昼時だしメシでも食いたかったんだが、宗吾参道の駅周辺には店がない。店どころか、成田方の踏切周辺に僅かに住宅があるだけで、ホームの向こうにはとうに収穫の終わった田園と下総の農村風景が眺められるのみ(笑)。想像以上の田舎である。


そうそう宗吾参道と言えば酒々井ちびっこ天国!たぶん昭和世代の千葉県民には、夏のレジャーと言えば谷津遊園のプールか酒々井のちびっこ天国かという時代をお過ごしの方も多いかと思われ。看板のお姉ちゃんの水着の匂い立つような昭和感がたまらない。看板の色褪せっぷりから閉園した施設なのかと思いきや、シーズンオフなだけで営業自体は現在も続いているのだとか。高崎のカッパピアみたいに廃れてんのかと思ってたよ。

   

鉄道ファンに「宗吾参道」と言えば、京成線の車庫のある場所と言うイメージかもしれません。駅の佐倉方に広がる宗吾車両基地は、京成線最大の車両収容数を誇る大きな大きな車庫です。上野方面行きの電車が来るまでかなり時間があるので、子供とホームでウロウロしてたらAE(スカイライナー)が車庫線から出庫して来た。基本的に空港特急は現在京成高砂からスカイアクセス線経由になるので、宗吾参道を通る特急は朝夕のモーニング/イブニングライナーのみとなります。


宗吾参道の先にある京成線唯一のトンネル・宗吾トンネルに向かって行くAE。思えば、空港特急の任を担うべく配備された初代AE車が、1970年代のいわゆる「成田闘争」に絡んで成田空港の開港を阻止しようとした中核派に焼き討ちに遭ったのがここ宗吾車両基地でありましたね。国際空港として華々しく開港するはずだった成田空港の開港の遅れは、開港を見据えて大型投資を打った京成本体が傾きかけるほどの致命的な打撃となってしまったのよね。そもそも京成自体もお土地柄か労働組合が強くて、子供の頃他の私鉄はだいたい妥結しているのに京成だけがスト強行してるのって結構多くなかったですか?


ホームで次の電車を待つ20分弱。ようやくトンネルの向こうから3400形の特急上野行きが姿を現しました。そういえば京成電車のホームには必ず「この駅の〇時〇〇分発の普通上野行きは、最後尾1両が行商専用車両です」って表示があったけど、いつの間にかなくなってましたね。今でも千葉県は農産物の首都圏の一大供給基地であることは間違いないのですが、そんな下総台地の土の香りを乗せて走った京成電車も追憶の彼方。時は流れ、空港連絡のメインルートから外れた本線筋には静けさと少しの寂しさが漂っているよーな気がしました。
コメント
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