ジョルジュシムノンの傑作「ちびの聖者」をいまごろになって読んだ。貧しい一家に生まれたちびのルイが一流の絵描きとなっていく自伝的小説だ。シムノンといえば「メグレ警視」がダントツに有名なのだがこのルイキュシャもいい。シムノン自身がストーリーなんて興味がない登場人物がすべてなのだというくらいだからこの本も市場にこびてなかった頃のフランス映画っぽくていい。主人公が立体でイメージできて動き出すんだ。例えばはじめて絵の具を買うシーンとか単色にこだわる場面だとか。絵を描くってことも何を描くってこともすべて自分の中にある自分自身のイメージで捉えたものということがよくわかる。あらゆるものからあらゆる人から何かを引き出せたルイ。いまや大先生となったルイに「先生、あなたはご自身をどんなイメージでとらえてますか」と誰かが問いかけると「
小さな男の子のイメージさ」って答えるエンドがいいね。チビで非力で学校でいじめられても先生に告げ口をせず微笑を絶やさなかったからついた仇名が「小さな聖者」。物語は戦争の背景にもふれその時代喧騒や庶民の暮らしぶりも描かれていてぐんぐんと読みすすんでいく。もっと若いうちに読みたかったなと思った。
小さな男の子のイメージさ」って答えるエンドがいいね。チビで非力で学校でいじめられても先生に告げ口をせず微笑を絶やさなかったからついた仇名が「小さな聖者」。物語は戦争の背景にもふれその時代喧騒や庶民の暮らしぶりも描かれていてぐんぐんと読みすすんでいく。もっと若いうちに読みたかったなと思った。