「略奪国家」 ジェームススキナー

2012-01-17 | 日常雑談
略奪大国~あなたの貯金が盗まれている!~
クリエーター情報なし
フォレスト出版


GDPの倍以上も国が借金をしている日本がこのままで済むとは思っていません。赤字国債をバンバン発行している政府がまともだとも思っていません。どう考えても、短期的な措置ならともかく、国家予算の半分を毎年借金で賄っている国が成り立つとは思えないのです。
また、償還期限を迎えた国債を支払うのに、国債を発行しているなんて、まるでネズミ講と一緒だな、と思っておりましたが、この本にもそのまま「国家が行うネズミ講」と、書いてありました。。w

結局国家の問題も突き詰めれば非常にミクロな問題が積みあがっただけなわけです。
この本に書いてあった、
「最低賃金を上げれば、経済が悪くなる」という点、目から鱗です。

最低賃金上げる → それに見合わない労働しかできない人はますます就職できない → 失業者増える → 国家が負担する社会保障額が上がる → ますます社会保障以外にまわせる税金が減る、或いは、担税力のあるところから徴収 → 企業・投資資金の海外流出

よく、国家の財政と会社の経営は異なる、と、いいます。 ですが、金を集めて(税) それを運用していくことには変わりません。 いかに税を効率よく集めるか、ということを、短絡的に、「とれるところからとる」ということで進め、その上、使わないと予算が下りない、使うことが善、という悪魔の公式によって無駄なお金が使われ(=税金)、この有様です。
本来、将来税負担を担う子供をどのように育てるか、という視点から、保育所などへの規制を撤廃すべきところが、規制ガチガチで参入できません。
企業活動を活発化させ、雇用を増やし、経済活動を活発化させ、税収を増やさなければならないところ、規制で新規参入を締め出し(競争がない。創意工夫がなくなる)、高い税率で締め上げ(儲けを出さなくする。企業が新規の投資ができない)、利益が生まれない構造にしてしまっています。

本書は公共事業などのばら撒きも否定します。公共事業=一時的に企業活動は活性化しますが、そのために雇った人をずっと雇用するためには、更なる公共事業が必要になるわけです。
都会に住み、サラリーマン家庭に育つと、国からの「ばら撒き」の恩恵などを受けずに、ただただ税金を納め(というかむしりとられて)て死んでいくしかありません。
ましてや一票の価値の低い都市部の住民、投票にもいかない人間たちを構う必要は政治家にはありませんし。
固定資産税もしっかりとられ、税金は源泉徴収。日本は払う人ともらう人がしっかりとわかれ、しかももらう人のほうが発言力が高いわけです。なにせ一票の価値が重いのですから。

政治家の仕事として
「自分に票を入れた人や、自分の選挙活動を応援してくれた人のために、略奪行為を行うこと」 と、明快な書き方をしてくれています。

日本はとにかく規制国家です。何をやるにも規制規制。そして既得権益で守られた業種、特定企業などが、上手く生き延びているわけです。決して自由な国ではないわけです。
技術や産業の空洞化が叫ばれます。でも、なぜそうなるのか、を、冷静に考えれば、答えははっきりしています。

本書では、日本の行く末について、4つの可能性を示唆しています。

1) 偉大なるリーダー出現による、政策の大転換
2) このまま破綻
3) 革命
4) 他国に併合される

今のところ、一番現実的なのが 2)、 そして、次は3) かもしれません。
そして私自身も国民の一人として傍観をするのではなく、何らかの手を打たないといけないな、と強く感じているわけです。