映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

さよなら歌舞伎町

2015年09月11日 | 映画(さ行)
サエない自分のままでもいい



* * * * * * * * * *

歌舞伎町のラブホテルにまつわる5組の男女の一日を描きます。


徹(染谷将太)は、このしがないラブホテルの店長。
しかしその日、彼の妹がAV女優として撮影の一行と共に現れる。
そしてまた、一緒に暮らしている沙那(前田敦子)が、
見知らぬ男とともに客として現れる。
動揺を隠せない徹だが・・・。



時効が直前に迫っている逃亡カップル。


韓国人デリヘル嬢とその恋人。


風俗スカウトマンと家出少女。


不倫中の刑事カップル。


微妙に交差しながら語られるそれぞれの人生の片鱗。
共通していえるのはこの表題で分かる通り、
彼らは皆この猥雑な町、歌舞伎町の一夜、あるいはこの数年の生活から
去ることになるというところです。


徹は、本当の自分はこんなラブホテルではなくて、
一流ホテルに勤めるべき人間だと思っています。
いわば底辺にいながら、これは、本来の自分ではないと思っている。
でもそれは彼だけではなく、登場人物皆に当てはまることなんですね。
では皆がこの生活を捨て、本来の自分を見つけるためにここを去るのかといえば、
そういうわけでもないのです。
おそらく何処へ行ってもそう変わりはないのだろう。
だけれども、サエない自分のままで何とか生きている、
そんな人々の姿を見ていたら、
そう多くは望まない、そんなに大それた夢は持たない、
だけれどもほんのちょっぴり希望を持って一歩踏み出して行こう。
ラストには、なんだかそういった優しい気持ちに包まれていることに気付きます。


私はデリヘル嬢のヘナが好きでした。
そして彼女の仕事を知ってしまったチョンスの行動も。
悪いけど本作の主役は染谷&前田ではなくて、
この2人のように思えました。

さよなら歌舞伎町 スペシャル・エディション [DVD]
染谷将太,前田敦子,イ・ウンウ ロイ,樋井明日香,我妻三輪子
Happinet(SB)(D)


「さよなら歌舞伎町」

2014年/日本/135分
監督:廣木隆一
出演:染谷将太、前田敦子、イ・ウヌ、ロイ、大森南朋、田口トモロヲ

それぞれの人生度★★★★☆
猥雑さ★★★☆☆
満足度★★★.5


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2 コメント

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新宿にゴジラ (iina)
2015-09-13 10:46:07
そんな新宿に、ゴジラがあらわれました。


読者管理に登録をいただいた方を訪ねて参りました。

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新名物 (たんぽぽ)
2015-09-14 20:10:18
>iinaさま
ゴジラ、いいですね。
私もぜひ一度は見てみたいです!
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