孤独と苦悩のスーパースター
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/36/5c/ac5a0d24da6b8cb33e3c501c098874b6.jpg)
* * * * * * * * *
今作は映画ですが、一応「舞台」のカテゴリとしました。
1971年ブロードウェイで初演された大ヒットロックミュージカル「ジーザス・クライスト=スーパースター」。
今作は2012年10月5日に
イギリスの「バーミンガム・ナショナル・インドア・アリーナ」で行われたステージを収録したものです。
私、「ジーザス・クライスト=スーパースター」には、ただならない思い入れがあるのです。
1973年に映画化されたこの作品を見て、すっかり虜になってしまったのです。
学生時代でした。
彼氏と見に行った・・・なんてステキな思い出ではありません。
確か、友人と見に行って、「もう一回見る」という私に呆れて、
友人は先に帰ってしまったような記憶が・・・。
一度入場してしまえば、そのまま何回でも見ることができた当時の映画館・・・。
それもまた懐かしいですけれど。
その後サントラ盤のレコード(!)を買ったのはもちろん、
リバイバル上映も何度か見て、これまで何度見たのかも覚えていないくらいです。
(札幌で劇団四季による舞台を一度見たこともあるのですが、
まあ、それはそこそこ・・・という感じ。)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0c/6b/a0a0b8b87b6673f6b709bf459800d45a.jpg)
さて、特に目立った宣伝もないこの度の上映を知ったのは、
ネットで今度見に行く映画作品を物色していた時のこと。
上映期間1週間だけで毎日夜の1回のみ。
ナマの舞台を一度は見てみたい・・・
そんな思いの半分も満たされればそれでよし、という感じでした。
さてさて、しかし期待以上に魅了されました。
皆に囲まれ、もてはやされるイエスを、危うく感じ皮肉な目で見つめるユダのモノローグから。
・・・ワクワクしますね!
先の「映画」では、実際のイメージそのままに、
砂漠と岩山のオール屋外ロケで、衣装も当時風だったのです。
ところが今作、舞台は現代の都会。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2e/f2/6b99df7f0e51bb8707c7233d32cc8af1.jpg)
革命をうったえるカリスマ青年に群がる学生たち。
そんな雰囲気。
拡声器を持ちアジテーションをするイエス(ベン・フォースター)はなんだかチャーミング。
そしてユダ(ティム・ミンチン)は、
「パイレーツ・オブ・カリビアン」のジャック・スパロウ船長風のヘアスタイルとメイクで、
カヤパに連絡をとるのは、携帯電話。
一方、イエスを邪魔に思うステータスを持つ男たちは、
ビシっと決めたスーツ姿(フリーメイソンのメンバー?)。
それもオフ時にはスエットを着てランニングしてたりする。
そしていざ、イエスの人気が失墜すれば、
それをあげつらうマスコミ。
無遠慮に差し出されるICレコーダー。
挙句に登場するイエスはオレンジのつなぎの囚人服に身を包んでいる。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0e/a2/46f5b03a5db9a1e93efeb442d0139bd8.jpg)
・・・おお、なんと見事に現代に置き換えられているのでしょう。
つまりは、何時の時代でも社会の構成は似たようなものなのですね。
初演から40年を経ても、古びない。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0c/2d/438a498569a30b2570c7bacab796fab3.jpg)
それから、ナマの舞台の面白さ、
実際に役者さんたちが登場人物の感情そのままに歌うので
ビンビンと伝わってきます。
そうそう、演奏も全てマナだったのです。
カメラは舞台正面からだけではなく、時には側面からバンドの人達とともに役者を映しだしたりもする。
こういうところは、映画だけで見られるお得なシーンでもあります。
アリーナのステージということで、バックに巨大スクリーンがあり、
それが舞台背景を映しだしたり、役者さんの表情をクローズアップしたり。
これが映画の画面になるとまた、面白い効果が生み出されます。
そしてワンシーンを終えるごとに観客の拍手と歓声。
これが臨場感を掻き立てていますね。
盛り上がります。
最期には通常映画では見られないカーテンコール。
なんと、今作だけではなく「エビータ」「キャッツ」「オペラ座の怪人」などの作曲家である
アンドリュー・ロイド・ウェバーご本人が登場したのにはびっくり。
私は、もしこれを本当に目の前でナマで見たのだったら、きっと感動で泣いてしまいます。
映画とはいえ、拍手で終わりたい気分でした。
拍手くらいしてもいいじゃない・・・とは思いつつ
・・・誰もしていない。
残念。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/40/2a/82b2f0a3604d86c3936561a30220cedb.jpg)
このミュージカルは、当初、熱心なキリスト教徒からは
神を冒涜しているとして、猛烈な抗議があったのです。
いやしくもイエス・キリストに向かって、「ヘイ、J・C」ですからね。
けれども見てみれば、イエスの孤独と苦悩がくっきりと浮かび上がり、
より身近に感じ、そして好きになってしまいますね。
マグダラのマリアがイエスに恋をして歌う
“I don’t know how to love him”(邦訳「私はイエスがわからない」)。
これをユダが歌う所では、やられた!と思うんですよ。
男女の恋愛感情ではなく、
人として人を思う気持ちも同じ歌で表現しているのが
なんとも心憎いではありませんか。
兎にも角にも、今作、
また、このたびで私の心のミュージカルの位置を確かなものにしました。
「ジーザス・クライスト=スーパースター アリーナ・ツアー2012」
2012年/イギリス/103分
演出:ローレンス・コナー
作詞:ティム・ライス
作曲:アンドリュー・ロイド・ウェバー
出演:ティム・ミンチン、ベン・フォースター、メラニー・C、クリス・モレイズ
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/36/5c/ac5a0d24da6b8cb33e3c501c098874b6.jpg)
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今作は映画ですが、一応「舞台」のカテゴリとしました。
1971年ブロードウェイで初演された大ヒットロックミュージカル「ジーザス・クライスト=スーパースター」。
今作は2012年10月5日に
イギリスの「バーミンガム・ナショナル・インドア・アリーナ」で行われたステージを収録したものです。
私、「ジーザス・クライスト=スーパースター」には、ただならない思い入れがあるのです。
1973年に映画化されたこの作品を見て、すっかり虜になってしまったのです。
学生時代でした。
彼氏と見に行った・・・なんてステキな思い出ではありません。
確か、友人と見に行って、「もう一回見る」という私に呆れて、
友人は先に帰ってしまったような記憶が・・・。
一度入場してしまえば、そのまま何回でも見ることができた当時の映画館・・・。
それもまた懐かしいですけれど。
その後サントラ盤のレコード(!)を買ったのはもちろん、
リバイバル上映も何度か見て、これまで何度見たのかも覚えていないくらいです。
(札幌で劇団四季による舞台を一度見たこともあるのですが、
まあ、それはそこそこ・・・という感じ。)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0c/6b/a0a0b8b87b6673f6b709bf459800d45a.jpg)
さて、特に目立った宣伝もないこの度の上映を知ったのは、
ネットで今度見に行く映画作品を物色していた時のこと。
上映期間1週間だけで毎日夜の1回のみ。
ナマの舞台を一度は見てみたい・・・
そんな思いの半分も満たされればそれでよし、という感じでした。
さてさて、しかし期待以上に魅了されました。
皆に囲まれ、もてはやされるイエスを、危うく感じ皮肉な目で見つめるユダのモノローグから。
・・・ワクワクしますね!
先の「映画」では、実際のイメージそのままに、
砂漠と岩山のオール屋外ロケで、衣装も当時風だったのです。
ところが今作、舞台は現代の都会。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2e/f2/6b99df7f0e51bb8707c7233d32cc8af1.jpg)
革命をうったえるカリスマ青年に群がる学生たち。
そんな雰囲気。
拡声器を持ちアジテーションをするイエス(ベン・フォースター)はなんだかチャーミング。
そしてユダ(ティム・ミンチン)は、
「パイレーツ・オブ・カリビアン」のジャック・スパロウ船長風のヘアスタイルとメイクで、
カヤパに連絡をとるのは、携帯電話。
一方、イエスを邪魔に思うステータスを持つ男たちは、
ビシっと決めたスーツ姿(フリーメイソンのメンバー?)。
それもオフ時にはスエットを着てランニングしてたりする。
そしていざ、イエスの人気が失墜すれば、
それをあげつらうマスコミ。
無遠慮に差し出されるICレコーダー。
挙句に登場するイエスはオレンジのつなぎの囚人服に身を包んでいる。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0e/a2/46f5b03a5db9a1e93efeb442d0139bd8.jpg)
・・・おお、なんと見事に現代に置き換えられているのでしょう。
つまりは、何時の時代でも社会の構成は似たようなものなのですね。
初演から40年を経ても、古びない。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0c/2d/438a498569a30b2570c7bacab796fab3.jpg)
それから、ナマの舞台の面白さ、
実際に役者さんたちが登場人物の感情そのままに歌うので
ビンビンと伝わってきます。
そうそう、演奏も全てマナだったのです。
カメラは舞台正面からだけではなく、時には側面からバンドの人達とともに役者を映しだしたりもする。
こういうところは、映画だけで見られるお得なシーンでもあります。
アリーナのステージということで、バックに巨大スクリーンがあり、
それが舞台背景を映しだしたり、役者さんの表情をクローズアップしたり。
これが映画の画面になるとまた、面白い効果が生み出されます。
そしてワンシーンを終えるごとに観客の拍手と歓声。
これが臨場感を掻き立てていますね。
盛り上がります。
最期には通常映画では見られないカーテンコール。
なんと、今作だけではなく「エビータ」「キャッツ」「オペラ座の怪人」などの作曲家である
アンドリュー・ロイド・ウェバーご本人が登場したのにはびっくり。
私は、もしこれを本当に目の前でナマで見たのだったら、きっと感動で泣いてしまいます。
映画とはいえ、拍手で終わりたい気分でした。
拍手くらいしてもいいじゃない・・・とは思いつつ
・・・誰もしていない。
残念。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/40/2a/82b2f0a3604d86c3936561a30220cedb.jpg)
このミュージカルは、当初、熱心なキリスト教徒からは
神を冒涜しているとして、猛烈な抗議があったのです。
いやしくもイエス・キリストに向かって、「ヘイ、J・C」ですからね。
けれども見てみれば、イエスの孤独と苦悩がくっきりと浮かび上がり、
より身近に感じ、そして好きになってしまいますね。
マグダラのマリアがイエスに恋をして歌う
“I don’t know how to love him”(邦訳「私はイエスがわからない」)。
これをユダが歌う所では、やられた!と思うんですよ。
男女の恋愛感情ではなく、
人として人を思う気持ちも同じ歌で表現しているのが
なんとも心憎いではありませんか。
兎にも角にも、今作、
また、このたびで私の心のミュージカルの位置を確かなものにしました。
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「ジーザス・クライスト=スーパースター アリーナ・ツアー2012」
2012年/イギリス/103分
演出:ローレンス・コナー
作詞:ティム・ライス
作曲:アンドリュー・ロイド・ウェバー
出演:ティム・ミンチン、ベン・フォースター、メラニー・C、クリス・モレイズ
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