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「介護のうしろから『がん』が来た!」篠田節子

2023年01月18日 | 本(エッセイ)

節ねえの闘病記

 

 

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直木賞作家として第一線で仕事を続けながら、
認知症の母親を自宅で介護してきた著者。
症状が進行し介護施設に入所させた直後に、
自身の「がん」が見つかる。
母親を優先した生活で、自分の健康は後回しだった。
医師のアドバイスはもちろん、周囲の温かな思いも受けて、
納得のいく治療を進めようとする。
だが、入院中も母が心配で……。
介護と闘病に奮闘する日々を克明かつユーモラスに綴る名エッセイ。

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篠田節子さんの闘病記。

篠田節子さんは、自宅で認知症のお母様の介護を続けていたそうなのですが、
病状が進行して介護施設に入所。
その直後、多少時間にゆとりができた著者が久しぶりに健診を受けてみようと、
受診したところで、乳がんが見つかります。
そのため、初期のうちに発見できたわけで、
劇的なタイミングではあったのですね。

本巻では乳房の温存か、切除かの選択のこと。
そして再建のこと。
差し迫った選択に著者が決断を下していく様子が実に詳細に描かれています。

でも、悲壮感はない。
サバサバと肝が据わっていて、しかもユーモラスでもある語り口、
さすがに私のかねてから敬愛する篠田節子さんではあります。
これはぜひ「節ねえ」とお呼びしたい!
(あらやだ、調べてみたら私と同い年だった・・・!!)

そしてまた、その手術が終わった頃に、
今度はお母様の介護施設を移らなければならず、
その行き先を決めるのにもまた奮闘。
しかしそんな中で海外旅行にまで行っているというのがなんともすごいです。

そしてまた、このバタバタの日々の中で吉川英治文学賞受賞の知らせが入ります。
なんとも劇的ですねえ。
私は何も知らずにその受賞作「鏡の背面」を読んだわけです。

 

現在もお元気な「節ねえ」、
今後もワクワクドキドキの著作を楽しみにしています!!

 

「介護のうしろから「がん」が来た!」篠田節子 集英社文庫

満足度★★★★★

 



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