映画と本の『たんぽぽ館』

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マークスの山

2018年08月15日 | 映画(ま行)

青年は山を目指す

* * * * * * * * * *


高村薫さん原作の本作、20年以上前の作品です。
これ、西島秀俊さん出演作であるにもかかわらずまだ見ていなかったので、この度拝見。
原作は読んだのですが、ストーリーなんかすっかり忘れていたわ~と思いきや、
合田刑事を見た途端に思い出したのは、彼の別れた妻の兄、加納との怪しい関係・・・。
そんなことだけはちゃんと覚えている、さすがのミーハーな私でした。


さて、本作は直木賞を受賞した合田警部補シリーズの第一作目。
ある連続殺人事件の捜査にあたる合田刑事(中井貴一)ですが、
その関係者が、ある大学の山岳部の同期の関係であることがわかってきます。
そしてその時代といえば大学紛争の只中・・・。
彼らの裏に潜む過去の出来事とは・・・?
そしてまた本作では、精神病院から出て
病院で馴染みだった看護師(名取裕子)のもとに転がり込む水沢(萩原聖人)という青年の動きも描写されます。
本作の主役は彼の方。
彼の行動は狂人ゆえなのか、はたまた人並み外れた純粋さゆえなのか・・・?
ラスト、一人山を上り詰める水沢が切なくも心を震わせます。


暴力シーンやセックスシーンが結構生々しい。
最後に水沢が受ける暴力シーンには過去の様々な暴力シーンも重ね合わせて描写されます。
結局、暴力は暴力を生む。
暴力は新たな暴力に連なって勢いを増してゆくばかり・・・、
そんなことも訴えているようです。


力のある作品。
そしてこれが20年以上を経た今見るのも興味深いものでした。
まあ、当然ではありますが、中井貴一さんが若い! 
西島秀俊さんは合田とコンビを組む森刑事で、
確かこの人物はちょっと軟弱なタイプだったのではなかったでしょうか・・・?
でも映画ではぜんぜんそんな事はありませんでした。
若々しい西島秀俊様、ステキです♡


しかし本作では楽しみにしていた加納は登場しません・・・。
バッサリ切られました。
まあ、直接ストーリーには関わりませんもんね。
(というか原作でもこの話には登場していなかったのでしたっけ・・・?)
でも合田がスニーカーを洗うシーンがあったのは良かった。
ここがとても合田さんっぽくって、欠かせませんよね。


ところで私はどうも合田に中井貴一さんはイメージが合わないと思う・・・。
もう少し野性味のある感じの方にしてほしかった・・・。



<WOWOW視聴にて>
「マークスの山」
1995年/日本/138分
監督:崔洋一
原作:高村薫
出演:中井貴一、萩原聖人、名取裕子、西島秀俊、小林稔侍
暴力爆発度★★★★☆
満足度★★★.5



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2 コメント

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私も (こに)
2018-08-16 14:46:58
中井さんの合田刑事はイマイチでした。


髙村さん、この頃のはまだ読めましたけど、最近のはついていけなくて…
自分の力の無さが無念です。
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Unknown (たんぽぽ)
2018-08-16 19:34:02
こにさま
テレビドラマ版(WOWOW)では上川隆也さんが合田役だったのですが、私の中ではこれもピンとこないのですよね・・・。では誰と言われても思いつかないのですが・・・。誰かあてがありますか?
高村薫さん、そういえば私、最近読んでません・・・。
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