映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

スノー・ロワイヤル

2020年02月04日 | 映画(さ行)

ブラックユーモア満載

* * * * * * * * * * * *


ノルウェーのクライムドラマ「ファイティング・ダディ 怒りの除雪車」を
同監督、リーアム・ニーソン主演でリメイクしたものです。
ちなみにノルウェー版の主役はステラン・スカルスガルド。
ちょっとそちらも気になります。

雪深い田舎町、キーホー。
除雪作業員ネルズ・コックマン(リーアム・ニーソン)は、
模範市民賞を受賞するほど真面目で仕事熱心です。
ある日、一人息子が麻薬の過剰摂取を偽装され、殺されてしまいます。
ネルズは復讐のため、地元麻薬組織・バイキング一味を、
一人、また一人と殺していきます。
バイキングのボスはそれを敵対する組織の仕業と勘違いし、
マフィア同士の抗争に発展していきますが・・・。

リーアム・ニーソン主役ということで「96時間」のような、戦うお父さん劇を予想しました。
そして確かに途中まではその通りだったのですが、なんだか次第に様子が違ってきます。
ごくあっさりと殺人が行われ、そして、
マフィアのどんな下っ端が死んだ場合にも
いちいち十字架とともに「誰それ死亡」というキャプションが出ます。
また、バイキングのボスは別れた妻と息子の養育権を争っていますが、
その元妻にはほとんど頭が上がらない。
気に入らない部下を平気で撃ち殺したりするくせにすごいギャップ。
・・・次第にブラックユーモアが漂い始めます。
少し、コーエン兄弟の雰囲気にも似ています。


ネルズの復讐劇だったはずなのに、
いつの間にかネルズそっちのけ、マフィア同士の銃撃戦が始まったりする。
そして、ネルズがバイキングのボスをおびき出すために
彼の息子を誘拐するのですが、この子がまた、なんともユニークです。
ネルズの自宅に連れてこられた子どもは、
こんなところに来るのは変じゃない?と少しも怯えず、
ネルズを憎みもせず、逃げ出す様子もなく、寝る前に本を読んで、などという。
ネルズの家に子ども向けの本などないので、やむなく重機のカタログを読むのですが、
子どもはそれを面白がっている。
すっかりなじんでしまった二人。
子どもは「ストックホルム症候群って、知ってる?」とネルズに問いかけたりします。
賢く、落ち着いた子ども・・・。
笑っちゃいます。
この子の将来が楽しみなような、怖いような・・・。

簡単に人が死んでしまうことに疑問を持ちながら見ていましたが、
つまりこれはクライムコメディとでもいうべき、苦い笑いでくるんだ作品。
悲壮感も陰惨さもなく、次第にその持ち味にはまっていきます。
モランド監督、次作が公開されたらまた見たいです。

 

 

<WOWOW視聴にて>
「スノー・ロワイヤル」
2019年/アメリカ/119分
監督:ハンス・ペテル・モランド
出演:リーアム・ニーソン、ローラ・ダーン、
トム・ベイトマン、エミー・ロッサム

ブラックユーモア度★★★★★
満足度★★★★☆

 



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