映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

影踏み

2019年11月30日 | 映画(か行)

自分の分身との相克

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住人が寝静まった住宅に侵入し、盗みを働く、通称「ノビ師」と呼ばれる泥棒の真壁(山崎まさよし)。
ある夜、県議会議員の自宅に忍び込みますが、
ちょうどそのとき、その妻が家に火をつけようとしているのを目撃します。

そんなどさくさで真壁は捕まり刑務所へ・・・。
そして彼が出所するところから物語は始まります。
真壁はあの夜の女のことがなぜか気になってならない。
と言うのも、真壁には20年前に起こったある火事の記憶がよみがえっていたので・・・。

 

真壁は実はかつて成績優秀、大学の法学部で学んでいたことがわかってきます。
それなのになぜ今こんな泥棒稼業などをして刑務所にまで入る暮らしをしているのか。
それは、かつて彼にはうり二つの双子の兄弟がいて、しかしその弟は全く学業に向かず、
世をすねてチンピラのようになっていた・・・。
そんなことからある事件が起こってしまったのです。

 

自分とうり二つの存在、しかし中身は正反対。
片や品行方正で人望があり、
もう片方はできが悪く反社会的な方へ落ち込んでいく。
本来等しく親しいはずの二人が、互いに相手を疎ましく思い憎むようになっていく・・・。
本作は「双子」の話となっているのですが
これは実は一人の人間の持つ「両面」のことなのかもしれないと思いました。
だれの心にも裏と表があって、実は簡単に裏返ったりもするのではないか・・・。
そんな風に思ったのでした。

真壁だけでなく、もう一組の双子の兄弟を登場させることで、
よりそんな想像が強まります。

 

そして、どこからともなくふらりと現れ、真壁に話しかける
チンピラ風の青年(北村匠海)の存在を不思議だ・・・と思いながら見ていたのですが、
その正体にこそ、本作の一番の面白みが隠されていました!!

なかなか企みに満ちた作品です。

 

しかし私が一番腑に落ちないのは、
つまり真壁の双子の兄弟が「あの人」と言うことで・・・
やや無理があるのでは・・・???(^_^;)

 

「影踏み」

2019/日本/112

監督:篠原哲雄

原作:横山秀夫

出演:山崎まさよし、北村匠海、尾野真千子、中村ゆり、竹原ピストル、藤野良子、滝藤賢一

双子の相克度★★★★☆

満足度★★★★☆



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