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「白蓮れんれん」林真理子

2014年08月26日 | 本(恋愛)
朝ドラでは描けない白蓮の真実

白蓮れんれん (集英社文庫)
林 真理子
集英社


* * * * * * * * * *

あまりに名高い「白蓮事件」―、
姦通罪のあった大正十年の人妻の恋の逃避行は命がけであった。
天皇の従兄妹で華族で炭鉱王の妻、
相手は若い熱血の社会実義の闘士。
撃的な大ニュースだった。


* * * * * * * * * *

NHK連続テレビ小説「花子とアン」で、
今また一躍注目を浴びている白蓮さん。
ドラマ中の「蓮子」さんのモデルとなった方ですね。
ついミーハー的興味で読んでしまいました。
本作は1994年に出版されたものですが、
今また売れているでしょうねえ・・・。


本作は著者林真理子氏が、
宮崎龍之介・柳原白蓮の書巻700通(!!)あまりを
宮崎家からお借りするなどした綿密な取材によるもので、
かなり白蓮さんの実像に迫っていると思われます。
私などはつい仲間由紀恵さんのお顔をイメージしながら読み進んでしまいましたが、
まあ、それは自由ですよね。
TVドラマ以上に女のずるさやたくましさが綿密に描かれています。
しかし、華族、しかも天皇の従兄弟という立場が、
単なる「女性」を超えた不思議なオーラを放っている。
誰もが平等というのが当たり前の今でさえも、
このことを否定できません。


いわばお姫様が、無学の大富豪に嫁ぎ、
とうとう相手と相容れることができない・・・
というのは当然ですよね。
そんな無理矢理の結婚がまかり通っていた当時の女性のことを思うと
胸が塞がります。
しかし、彼女の恋の逃避行は、
超弩級のゴシップとなり世間で取り沙汰された。
そんなところは今と変わりませんね。
いえ、今でこそ不倫はどこにでもある話、珍しくもありませんから、
ニュースにはなるけれど、まもなく忘れられてしまうでしょう。
しかしこの時代は「姦通罪」などというものがあった・・・。
世間からのバッシングも相当なものだったようです。
本巻で唯一「村岡花子」の名前が出てくるところがありまして、それが

雑誌や新聞で平塚らいてう、村岡花子など好意的な意見もあったが、
たいていの女性文化人もあき子に厳しい。
未だに多くの特集が組まれ、あき子を弾劾しようとするのだ
。」
<あきの字がどうしても出せない!!・・・火へんに華です>


自分の心のままに自分らしく生きようとした・・・
今でも十分に驚嘆に値する女性だと思います。
彼女にこそ、この歌を捧げよう。
"Let It Go!"


「白蓮れんれん」林真理子 集英社文庫
満足度★★★☆☆


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