飲み明かした「朝」が、このままずっと続けばいい・・・
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退屈な飲み会に参加した“僕”(北村匠海)は、
そこで出会った“彼女”(黒島結菜)に一瞬で恋をします。
就職も内定し、将来を夢見ながら、無邪気に“彼女”との付き合いを楽しむ“僕”。
やがて社会人となった“僕”は、夢見ていた未来とは異なる人生に打ちのめされていきます・・・。
本作には一つしかけがありまして、
無邪気に逢瀬を楽しんでいた“僕”と“彼女”の関係は、
実はそう単純なものではなかった、ということが終盤に分かります。
“僕”は、鬱屈した思いを抱えながら、就職し、
そこで夢描いたような華々しい未来とは全く別物の毎日を過ごすようになる。
だからこその行き詰り感は、通常よりも増して感じられるのです。
かつて、友人達と夜が白むまでくだらないことをしゃべりながら飲み明かした日々。
このまま新しい一日なんか始まらなければいいのに。
このままの時間がずっと続けばいいのに・・・。
あの時はそう思ったものだけれど、今、その思いをただ懐かしく思う。
確かにあの瞬間が一番幸せだったのかも知れないと。
「青春」時代を抜けて、退屈な日常にもそれなりに意味を見出しつつある・・・
そんな終わり方もステキでした。
黒島結菜さんは、私にも印象深い「アシガール」の元気印の女の子のイメージが強くて、
その延長線上で「ちむどんどん」の起用があったと思うのですが、
それが逆にあまりいい結果に出なかったですよね。
本作では、年上の人のイメージ、いい感じに演じています。
役者にとって、「役」との出会いは、運命的なものであるなあ・・・とつくづく思います。
本作で、“僕”の友人役で出演した井上祐貴さんがすごくいい感じでした。
話題の「silent」でも、想くんと湊斗くんの友人役でもありました。
今、注目の上昇株だと思います。
主人公の友人役というのがなかなかあなどれなくて、
私にも少し体験したことがあります。
いくつかの映画で主人公の友人役をしている人がいて、
「この人カッコイイ!」などと思ったら、
そのうちテレビドラマにもよく出てくるようになり、
あっという間に主役級になっているという・・・。
松坂桃李さんとか、本作の北村匠海さんもそうです。
ドラマ好きのおばちゃんとしては、こうした若い人たちのサクセスストーリーを
見守るのも役割の一つのような気がしています。
<Amazon prime videoにて>
「明け方の若者たち」
2021年/ 日本/116分
監督:松本花奈
原作:カツセマサヒコ
脚本:小寺和久
出演:北村匠海、黒島結菜、井上祐貴、山中崇、楽駆、濱田マリ
青春度★★★★☆
満足度★★★★☆
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