映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

そばかす

2022年12月21日 | 映画(さ行)

もはや性別に意味なし

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30歳の蘇畑佳純(三浦透子)。
もの心ついた頃から恋愛というものがよく分からず、
告白された相手にも恋愛感情が湧かないという、
自身と周囲との差違に戸惑いを覚えていました。

チェリストになる夢も挫折して実家に戻り、今はコールセンターで働いています。
母からは結婚のプレッシャーが大きく、
勝手にお見合いをセッティングされてしまいます。
そこで出会った男性とは、結婚には興味がないという点で意見が一致し、
安心して友だち付き合いを始めるのですが・・・。

最近、LGBTとはまた別に、アロマンチックとかアセクシュアルという傾向の話を
ちらほら見かけるようになりました。
他者に恋愛感情を抱かないとか、性的に他者に惹かれないという傾向の人たち。
そんな人たちにとって、
こちらではそう思っていないのに恋愛感情を突きつけられたり、
また、恋人がいないことや結婚しないことをとやかく言う人が多くいたりすることは
確かにつらいことですね。

ここでの佳純も、恋愛感情抜きで友だちとして付き合い始めた男性が、
ある日「やっぱり好きになった」といって
いきなり体を求めて来たりするものだから、がっかりしてしまうのです。

たとえ恋愛ができないとしても、一人の方がいいとか、孤独を愛しているということではありません。
やはり、安心して共にいて、気楽に愚痴を言ったり聞いたり、
ご飯を食べたりできる人はいてほしい。
けれども、なかなかそういうことを理解する人は少なくて、
せっかく仲良しの同性の友人ができてルームシェアを始めようとしたら、
結婚が決まってしまった、などと言うことになってしまう。
とても生きにくそうです。
けれど、そのままの自分らしさでいて、幸せに生きることだってきっとできるはず。
周囲の理解も大切ですね。

同じテーマで少し前にNHKでやっていた「おかしな二人」のように、
恋愛には興味がない二人がそろうなら、いっそ男女の同居もアリなのかな、と。
異性であろうと、同性であろうと、一番大事なのは相性ということでしょうけれど。

人と人との関係性は、今や何でもあり。
そういう自由で気ままなのも、いっそいいなあ・・・と思う次第。

 

「ドライブ・マイ・カー」以来、三浦透子さんはテレビに映画に、引っ張りだこですね。
これからの活躍も楽しみです。

 

<サツゲキにて>

「そばかす」

2022年/日本/104分

監督:玉田真也

原作・脚本:アサダアツシ

出演:三浦透子、前田敦子、伊藤万理華、伊島空、北村匠海、田島令子、坂井真紀、三宅弘城

自分らしさ度★★★★★

満足度★★★★☆

 



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