美しい庭園のある屋敷に、少女たちはなぜ集められたのか
オーブランの少女 (創元推理文庫) | |
深緑 野分 | |
東京創元社 |
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美しい庭園オーブランの管理人姉妹が相次いで死んだ。
姉は謎の老婆に殺され、妹は首を吊ってその後を追った。
妹の遺した日記に綴られていたのは、オーブランが秘める恐るべき過去だった
―楽園崩壊にまつわる驚愕の真相を描いた第七回ミステリーズ!新人賞佳作入選作ほか、
異なる時代、異なる場所を舞台に生きる少女を巡る五つの謎を収めた、
全読書人を驚嘆させるデビュー短編集。
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深緑野分さんのデビュー短編集。
冒頭「オーブランの少女」
美しい庭園オーブランにかつてあった、
少女たちが集まり生活していた屋敷での出来事が語られています。
この屋敷に少女たちが集められた真の理由、それはとてもおぞましいものだった・・・。
耽美的とでもいいましょうか、ヨーロッパの何処かの邸宅で笑いさざめく少女たち。
まるで幻想のように美しい光景ながら、
実のところはきわめて現実的でドロドロとした事情と感情が渦巻いている。
そしてまた、自分の運命を切り開こうと懸命になる二人の少女の存在が光ります。
そのほかヴィクトリア朝ロンドンの美しい妹と醜い姉の織りなす犯罪の物語、
昭和初期の女学生の物語など、時代や場所を超えた少女たちの謎に迫ります。
私が好きだったのはラストの「氷の皇国」
北欧らしき舞台で吟遊詩人が語る、といった雰囲気。
ファンタジーめいていますが、やはりミステリです。
辺境の海辺の村で、氷河を流れてきた一体の首のない屍体。
おそらく数十年を経て、今は廃墟となっているお城からようやくここへ流れ着いてきたらしい。
その数十年前の「事件」が語られるのです。
残忍な王と高慢な美しき姫。
虐げられた人々・・・。
この雰囲気を見ると、なんだか「グイン・サーガ」の続きは深緑さんが書けばよかったのに、
なんて思ってしまいました。
「オーブランの少女」深緑野分 創元推理文庫
満足度★★★★☆
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