映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

「まひるの散歩」 角田光代

2015年04月18日 | 本(エッセイ)
納得したり、意外だったり。だからエッセイって面白い。

まひるの散歩 (新潮文庫)
角田 光代
新潮社


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ある日には他人のごはんブログに夢中になり、
ハイレベルなお呼ばれ料理に驚いたりへこんだり。
またある日には、果物大好きと言えない理由にはたと気付き、
妻の料理自慢をする夫の心のうちに思いをはせる。
つくって、食べて、考える。
『よなかの散歩』に続き、小説家カクタさんが、
毎日きちんとごはんの時間がやってくるうれしさをつづる、
食の味わいエッセイ第2弾。
写メも満載!


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角田光代さんの食べ物にまつわるエッセイ集。
オレンジページに連載で掲載されたものをまとめたものなのですね。
だから非常にコンパクトで、読みやすくなっています。
そもそも小説家はもともと文を書くのが得意なので、
エッセイもステキですよね。
本作は食べ物エッセイと言っても、グルメとはちょっと違う。
本当に私達の生活の中で身近な『食べる』ことにまつわる、
いろいろな思いが描かれています。


角田光代さんはお料理するのが好きなのだそうですが、
意外に思ったのが、
果物の皮を向いたり切ったりタネをとったりするのが面倒だから
果物はあまり食べない、というところ。
そもそもいろいろな調理の手間を考えたら、
果物の皮を向くことくらいなんということもないと思うのですが・・・。
私は果物が大好きなので、そういう手間は全然手間とも感じませんけれど・・・。
いろいろなことを思う人がいるのだなあ・・・。


ラスト近くに「加齢とイケメン」という項がありまして、
そこでは「自分の母親の世代は潔かった」というのです。
40を過ぎたらみな、デパートではおばさんフロアに直行し、
自分の子供が小学生になれば、ちゃんと「おばさん」を引き受けた。
でも今は自分も周りも、40代になってもみなオバサンを引き受けていないと、著者は言う。
・・・確かに、そうかもしれません。
40代どころか50代の私でもそういうところはあるかも。
でも著者が言うには、今の若い人の「イケメン」の基準が分からないという。
男性の俳優やタレントをときめきを持って見なくなった、と。
うーん、小説家角田光代氏にしては意外なお言葉。
私はまだそこまで達観できません。
せめて、映画やドラマの中くらい
若くても多少渋みをました中年でも、すてきだなあ・・と、胸をときめかせたい。
って、もしかしてこの年でその方が異常???

「まひるの散歩」角田光代 新潮文庫
満足度★★★☆☆


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