学校へ行かなくても、安心して居られる場所があれば
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いじめがきっかけで学校に行けなくなった、小学6年生の火村ほのか。
居場所を探してたどりついた古い図書館で、
体の半分が緑色の司書イヌガミさん、
謎の少年スタビンズ君、そしてたくさんの本に出会い、
ほのかの世界は少しずつ動き出す!
シリーズ累計7万部、「虹いろ図書館」シリーズ、はじまりの物語。
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本作、私がよく行く書店の、書店員オススメ本コーナーにあったのが目につきました。
「虹色図書館」シリーズとして現在まで5冊出ているところの
第一冊目ということのようです。
まず始めに、小学生6年の火村ほのかがクラスでいじめられるシーン。
私、そこでちょっと失敗したかな?と思ってしまいました。
私、いじめの話が苦手なのです。
昨今当たり前のように出てくるいじめの話。
こんなだから世間では「いじめ」はあって当たり前みたいな雰囲気に
なってしまっているのではなどとも思ってしまう・・・。
ほのかは始めのうち果敢にも耐えて学校に行くのですが、
ついに、行こうと思っても足が前に進まなくなってしまう・・・。
そこで、行き場を探して彼女がたどりついたのは、図書館なのでした。
そこの司書の青年は、顔半分が緑色という、一見ぎょっとするもの。
あのクラスのいじめ主犯が「へびおとこ」と呼んでいたのですが、
そんな呼び方が間違いであることが分る程度には、まっとうな精神の持ち主のほのか。
無愛想なこの青年は、彼女にとって大切な図書館のひとときを守ってくれる人物、イヌガミさんです。
このイヌガミさんだけでなく図書館の人々は、
「なぜ学校に行かないの?」とか「サボっていないで、ちゃんと学校に行きなさい」
などとは決して言いません。
黙ってほのかの居場所を提供してくれる。
そして、この図書館に同じく通っている中学生の少年もいます。
次第に図書館の行事などを手伝うようにもなるほのか。
図書館という大切な居場所を得て、ほのかは生きる力を身につけていきます。
まあつまり、少女のこういう成長を描くために、
「いじめ」の話になってしまうのは仕方ないことでした・・・。
この話は、図書館が利用者個人のプライバシーを守る
というポリシーを持っていることが根底になっています。
「図書館戦争」を懐かしく思い出しました。
書店員さんオススメというのも納得の作品。
「虹色図書館のへびおとこ」櫻井とりお 河出文庫
満足度★★★★☆