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映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

愛のまなざしを

2021年12月08日 | 映画(あ行)

病んだ心には、歯止めがない

* * * * * * * * * * * *

精神科医の貴志(仲村トオル)は、6年前に亡くした妻・薫(中村ゆり)のことが忘れられず、
未だに精神が不安定なのを、薬でしのいでいます。

あるとき、患者として現れた綾子(杉野希妃)が、
医師と患者の関係を超え、貴志に寄り添うようになります。
しかし、亡き妻への思いが断ちきれない貴志に、
綾子は嫉妬し、貴志への独占欲を膨らませていく・・・。

精神科に患者としてやって来た綾子はもちろんなのですが、
この医師・貴志自身もかなり危うい精神状態にあるのです。
貴志の妻は心を病み、自死したことが分かってきます。
自分が精神科医でありながら、妻を助けることが出来なかった。
妻を深く愛していたから、というよりも、
そういった自責の念が彼を苦しめていたようです。

そんな心の闇につけ込もうとしたのが綾子で、彼女は
「薫は本当は別に愛している人がいて、貴志の息子はその人の子供」
だと、ウソをつきます。
綾子のウソに翻弄され、ほとんど錯乱状態になっていく貴志。

なんとも救いようのない物語・・・。
どこまでが正常で、どこからが病なのか分からない。
しかし、病んだ心はなんの歯止めもなくストレートに
おのれの欲望に従ってしまうものなのかも知れません。

斎藤工さんは、薫の弟役。
姉をほとんど見殺しにした貴志を恨んでもいるのですが、
まずまずの良識人なのでホッとします。

そして、貴志のクリニックで受け付けをしているのが、片桐はいりさん。
クリニックのもぎりさんだ・・・、と密かに私は独りごちる。
彼女もまた良識人で、良い仕事をしています。

そんな受付に、貴志と一緒にいたいといって強引に勤務を始める綾子は、
常にタイトなワンピース姿。
派手。
いやー、ほんと恐いわあ、この人。
殿方はこういう人に言い寄られたらイチコロなのかなあ、やっぱり・・・。

 

<サツゲキにて>

「愛のまなざしを」

2020年/日本/102分

監督:万田邦敏

出演:仲村トオル、杉野希妃、斎藤工、中村ゆり、片桐はいり

 

心の病度★★★★☆

満足度★★.5