逃亡兼おかげ参り
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時は文政十三年(天保元年)、おかげ年。
民衆は六十年に一度の「おかげ参り」に熱狂していた。
博徒である辰五郎は、深川の賭場で多額の借金を背負った夜、
お伊勢講のくじに当たり長屋代表として伊勢参りの旅へと出発する。
途中で出会った代参犬の翁丸、奉公先を抜け出してきた子供の三吉、
訳ありな美女・沙夜と家族のふりをしながら旅を続けるなか、
ダメ男・辰五郎の心にも変化があらわれて……。
借金を回収しようと追いかけてくる殺し屋・菊佐から逃げ回り、
ひしゃくとガマの油で路銀を稼ぎ、地元の名産品には舌鼓。
笑いあり、涙あり、美味(グルメ)ありの愉快痛快珍道中。
『超高速!参勤交代』『引っ越し大名!』の著者による傑作時代長編!
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実は本作、WOWOWで「大江戸グレートジャーニー ~ザ・お伊勢参り~ (全6話)」として放映されていたもので、
私、大変面白く見ていました。
だからまあ、あえて読まなくてもよかったのですが、
著者の土橋章宏さんも好きなモノで、つい手に取ってしまいました。
博徒の辰五郎(ドラマでは丸山隆平さんが演じています)が多額の借金を負ってしまい、
たまたま長屋のお伊勢講のくじに当たったことから、
逃亡も兼ねて、お伊勢参りの旅に出ることになります。
途中で出会った三吉という子ども、ワケありの美女(芳根京子)、
そして犬の翁丸と家族のフリをしながらの旅。
旅の途中の様々の出来事を乗り越えつつ、
彼らは本当の家族のような気持ちになっていって・・・。
ストーリーはテレビドラマとほとんど違いがありません。
ただ、辰五郎が借金を踏み倒したことで、その後始末として命を付け狙う菊佐(山本耕史)という男が、
ドラマでは辰五郎の幼なじみという縁が最後に明かされることと、
菊佐の子分(加藤諒)の存在、というあたりが異なっています。
でも確かに、ドラマ的にはそのほうが面白い!
ということでストーリーを知っていても、十分に楽しく読みました。
続編で「駄犬道中 こんぴら埋蔵金」というのが出ているので、そちらも読もうと思います。
「駄犬道中おかげ参り」土橋章宏 小学館時代小説文庫
満足度★★★★☆