映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

ジャック・リーチャー NEVER GO BACK

2017年12月15日 | 映画(さ行)
荷物は僅かなお金と歯ブラシ



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「アウトロー」の続編。
相変わらず荷物ももたず、さすらいの旅を続けているジャック・リーチャー。
彼は旅の時々に、ある事件で世話になった女性、ターナー少佐に電話をしています。
チョッピリ好意を抱いたようです。
ある時、近くまで来たため、ターナーに会いに行くのですが、
なんと彼女はスパイ容疑をかけられ、逮捕されたという・・・。
この容疑自体が何かの罠に違いないと思い、
ジャックはターナーを救い出し、事の真相を探り始めます。
次第にあぶり出されていく軍と武器業者の癒着と陰謀・・・。



ターナー少佐は勇ましい!! 
彼女は女性扱いされて「後ろの方に引っ込んでろ」などと言われるのがとても嫌なのです。
ひたすら男性と同じに行動し、
そのように扱われることを望んでここまでのし上がってきた。
だから彼女はジャックを手助けするというよりも、むしろ同等のパートナー。
常は一匹狼のジャックですが、このたびはまあ、コンビと言っていいでしょう・・・。
いやトリオか。
・・・というのも、なんと、ジャックの娘(?)かも知れないという少女が登場するのです。
全く身に覚えがない訳でもないジャック。
前作では「据え膳」も食わない男だったのに、
食うこともあるのね・・・。
さて、ジャックの動きをを快く思わない連中にとって、
彼女はちょうどよい人質となるわけなので、狙われてしまうのですが、
なかなか、勇気があって機転も利く彼女。
確かにジャックの娘かも?などと思えてきちゃいますね。



ということで、先にも言いましたが本作は同じトム・クルーズでも
「ミッション・インポッシブル」シリーズよりもアクション等は地味ですが、
その分、登場人物の感情がしっかり描かれていて、私は嫌いじゃありません。



ポケットの中は僅かなお金と歯ブラシ、それだけが荷物。
移動はヒッチハイク。
こんなジャック・リーチャーのまた続きが是非見たいです。

ジャック・リーチャー NEVER GO BACK [DVD]
トム・クルーズ,コビー・スマルダース,ダニカ・ヤロシュ,ロバート・ネッパー,オルディス・ホッジ
パラマウント


<J-COMオンデマンドにて>
ジャック・リーチャー NEVER GO BACK
2016年/アメリカ/118分
監督:エドワード・ズウィック
出演:トム・クルーズ、コビー・スマルダース、ダニヤ・ヤロシュ、オルディス・ホッジ、ロバート・ネッパー


人生はシネマティック!

2017年12月15日 | 映画(さ行)
人の死に意味なんかない



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1940年、ロンドン。
第二次世界大戦中、
ロンドンは頻繁にドイツ機の空襲を受けている、そんな時期です。
カトリン(ジェマ・アータートン)は、
コピーライター秘書として雇われたのですが、
人手不足から、コピーを手がけるようになります。
そしてその腕を認められ、情報省映画局へ。
ここでは国民の戦意高揚のための映画作品を作っているのです。
そして、ダンケルクでドイツ軍の包囲から兵士を救出した姉妹の感動秘話を
映画化する脚本チームに加わります。
しかし、ベテラン俳優のわがままや、政府や軍からの横やりが入り、脚本は二転三転・・・。



ダンケルクのことは少し前に映画で見たので、記憶に新しい。
私にとってはその映画よりも、
コニー・ウィリスの「ブラック・アウト」と「オール・クリア」で表されている
まさにその時代なので、空襲の様子とか、地下鉄駅に人々が大勢避難している様子とかが
映し出されているのがすごく興味深かったのです。



そして、女性が自身のスキルを活かして生きがいを見出していく
というストーリーもいいですね。
また、映画の制作現場の内幕が描かれているのが非常に興味深い。
ここにビル・ナイという超ベテランを配置して、
落ちぶれた老俳優が「途中で死んでしまう老人の役なんか嫌だ」とゴネている
という設定にするなどとは、なんてステキ!



アメリカの参戦を促すために、あえてド素人のアメリカ人空軍ヒーローを
出演させなければならないというのも面白い。
当前演技は目も当てられない出来なのですが、
意外とカトリンは「イケメン」だからかまわない、と思っていたりします。
カトリンがそんなことを言うシーンが二か所もあって、
それをトムが呆れているシーンがすごく好き。
カトリンの気持ちはすごくよくわかるんですよねー。
なんだかんだと言って、女はイケメンに弱い。
ま、男性が巨乳に弱いのと同じですよ・・・。



さて、カトリンには共に暮らしている相手がいたのですが、
仕事が忙しくまた、のめり込むほどに面白くもあり、
次第に彼とは気持ちがすれ違っていきます。
そして、同じ脚本チームのトム・バックリー(サム・クラフリン)に心を寄せていく・・・。
などと書くと安っぽいラブストーリーじみてしまいますが、
ここの気持ちの移り変わりはツボをおさえていてなかなか良いのです。
そして、決して安直には終わらない。


作中で、トムがカトリンにこんなことをいいます。

「人の死に意味なんかない。
映画のストーリーならば、それは次の展開に必要な悲しみだけれど・・・。」

終盤で、この言葉を思い出さずにいられません。
死はある日突然に理不尽にやってくる。
しかし、考えてみればこれこそが本作の「ストーリー」としての出来事、
という二重性に包まれている。
結局は女性の自立に男は不必要ということかなあ・・・?



ところで、ダンケルク、
アメリカ人ジャーナリスト。
スクリューに絡まった何か。
次作が空襲監視員の話

・・・などなどのところに注目すると、
本作の脚本を書いた方は、コニー・ウィリスのファンに違いないと確信します!!

<ディノスシネマズにて>
「人生はシネマティック!」
2016年/イギリス/117分
監督:ロネ・シェルフィグ
出演:ジェマ・アータートン、サム・クラフリン、ビル・ナイ、ジャック・ヒューストン、ヘレン・マックロリー

時代の切り取り度★★★★☆
ロマコメ度★★★★☆
満足度★★★★.5