四面楚歌の体制の中で

* * * * * * * * * *
トム・ロブスミスによる原作がすごく面白くて、
夢中になって読んだものでした。
詳しくはこちらを・・・
→「チャイルド44」
その頃から映画化の話があり、心待ちにしていたのですが、
それから6年。
映画作りというのもなかなか時間がかかるものなんですね。

1950年代、スターリン体制下のソ連。
秘密警察の捜査官レオ(トム・ハーディ)は
一目惚れして射止めた妻ライーサ(ノオミ・ラパス)と暮らしていますが、
どことなく妻の方に生彩が感じられません。
ある日、レオの親友の息子が線路のそばで遺体で発見されます。
検屍によれば明らかに事件。
しかし、「殺人事件」は国家の理念に反するのです。
「楽園」であるはずのこの国に、殺人事件など起こるはずがない。
強引に事故として処理されてしまうのですが、
これを声高に事件と言いはることは、すなわち国家への反逆罪。
これまで完全に体制側にあったレオですが、
次第に国家への疑問が湧いてきます。
そんな時、妻へのスパイ容疑が浮上。
あくまでも妻をかばうレオは、
辺境の田舎町に異動させられてしまいます。

ところがその町の近辺でも少年の死亡事故が多発していることにレオは気が付きます。
前述の理由で、それぞれ事故や精神異常者の犯罪として処理されしまっていたために、
誰も連続殺人だとは気づいていなかった。
ここでのレオの上司であるネステロフ将軍(ゲイリー・オールドマン)の力を借り、
レオはこの事件の真犯人を突き止めようとするのです。
この捜査はやはり重大な国家反逆罪であるにもかかわらず・・・。

どんどん自身の立場が悪化していくにもかかわらず、
信念を持って真相を突き止めようとする、このレオの強さに痺れてしまいます。
そして、はじめギクシャクしていた妻との関係も、
互いに苦労を共にするうちに、絆を強めていく。
当時のソ連の欺瞞に満ちた体制に今さらながら憤りを覚えます。
本作は、謎解きミステリというよりもむしろ
この四面楚歌の体制の中で
真実を見極めようとするレオのタフさが、見どころです。

そしてまた、この芯の強い女性、ライーサに
ノオミ・ラパスがピッタリなのでした。
プロポーズを受けて一週間泣き暮らしたという
ライーサの心情を、全く受けとけ止めていなかったレオも
デリケートなさすぎですけどね。

原作の方は3部作で、
本作=第一部は、それなりに安穏の生活を取り戻すところで終わるのですが、
実はそれがまた新たな苦労の始まり・・・なんですよ。
また、改めて読んでみたくなってしまいました。

「チャイルド44 森に消えた子どもたち」
2015年/アメリカ/137分
監督:ダニエル・エスピノーサ
原作:トム・ロブスミス
出演:トム・ハーディ、ゲイリー・オールドマン、ノオミ・ラパス、ジョエル・キナマン、バディ・コンシダイン
歴史発掘度★★★★★
満足度★★★★☆

* * * * * * * * * *
トム・ロブスミスによる原作がすごく面白くて、
夢中になって読んだものでした。
詳しくはこちらを・・・
→「チャイルド44」
その頃から映画化の話があり、心待ちにしていたのですが、
それから6年。
映画作りというのもなかなか時間がかかるものなんですね。

1950年代、スターリン体制下のソ連。
秘密警察の捜査官レオ(トム・ハーディ)は
一目惚れして射止めた妻ライーサ(ノオミ・ラパス)と暮らしていますが、
どことなく妻の方に生彩が感じられません。
ある日、レオの親友の息子が線路のそばで遺体で発見されます。
検屍によれば明らかに事件。
しかし、「殺人事件」は国家の理念に反するのです。
「楽園」であるはずのこの国に、殺人事件など起こるはずがない。
強引に事故として処理されてしまうのですが、
これを声高に事件と言いはることは、すなわち国家への反逆罪。
これまで完全に体制側にあったレオですが、
次第に国家への疑問が湧いてきます。
そんな時、妻へのスパイ容疑が浮上。
あくまでも妻をかばうレオは、
辺境の田舎町に異動させられてしまいます。

ところがその町の近辺でも少年の死亡事故が多発していることにレオは気が付きます。
前述の理由で、それぞれ事故や精神異常者の犯罪として処理されしまっていたために、
誰も連続殺人だとは気づいていなかった。
ここでのレオの上司であるネステロフ将軍(ゲイリー・オールドマン)の力を借り、
レオはこの事件の真犯人を突き止めようとするのです。
この捜査はやはり重大な国家反逆罪であるにもかかわらず・・・。

どんどん自身の立場が悪化していくにもかかわらず、
信念を持って真相を突き止めようとする、このレオの強さに痺れてしまいます。
そして、はじめギクシャクしていた妻との関係も、
互いに苦労を共にするうちに、絆を強めていく。
当時のソ連の欺瞞に満ちた体制に今さらながら憤りを覚えます。
本作は、謎解きミステリというよりもむしろ
この四面楚歌の体制の中で
真実を見極めようとするレオのタフさが、見どころです。

そしてまた、この芯の強い女性、ライーサに
ノオミ・ラパスがピッタリなのでした。
プロポーズを受けて一週間泣き暮らしたという
ライーサの心情を、全く受けとけ止めていなかったレオも
デリケートなさすぎですけどね。

原作の方は3部作で、
本作=第一部は、それなりに安穏の生活を取り戻すところで終わるのですが、
実はそれがまた新たな苦労の始まり・・・なんですよ。
また、改めて読んでみたくなってしまいました。

「チャイルド44 森に消えた子どもたち」
2015年/アメリカ/137分
監督:ダニエル・エスピノーサ
原作:トム・ロブスミス
出演:トム・ハーディ、ゲイリー・オールドマン、ノオミ・ラパス、ジョエル・キナマン、バディ・コンシダイン
歴史発掘度★★★★★
満足度★★★★☆