５０／５０ フィフティ・フィフティ

病気の女の子の話はイヤだけど

　　　　　　　　　　　＊　＊　＊　＊　＊　＊　＊　＊


ガンで生存率50パーセントと宣告された青年のストーリー。
私は病気の女の子の話は極力避けることにしていますが、
この作品はひと味違います。
ガンの余命宣告、それは確かに悲劇ではありますが、
この作品は、ユーモアを込めたタッチで深刻になりすぎていません。


27歳の青年アダム。
お酒もたばこもやらないし、
あたりに車がいなくてもきちんと赤信号が変わるのを待つ堅実なタイプ。
部屋に散らかった彼女の持ち物の整理までします。
この青年が突然にガンの宣告を受ける。
取り乱して泣き叫んだりはしません。
まあ、幾分に自分でも信じられなく呆然としてしまう、そんなところですが、
こういうあたりはとてもリアリティがありますね。
もっともこれはこの脚本を書いたウィル・レイサーの実体験だそうなので、リアルなのは当然。
この冷静に現実を受け止める青年に、ジョセフ・ゴードン＝レビットがぴったり。
この人は顔立ちもあまり濃くなくて、日本人にはなじみやすいです・・・。
この淡々とした雰囲気がまた・・・。



しかしそんな彼が閉口してしまうのは、周囲の人たちの態度。
皆気を遣いすぎるあまりよそよそしい。
つきあっている彼女すらも・・・。
おまけに担当のセラピストは新米の研修医。
悪条件をもそのまま受け入れ、いっそさばさばとスキンヘッドにしてしまうという潔さ。
いい感じです。
そして、彼の親友カイルがまたいい。
カイルは下手な同情めいたことは言いません。
ガンをネタにナンパしようと、アダムを街に連れ出します。
言うことは下品ですが、カイルの存在が、落ち込みのどん底からアダムを引き上げています。
全く無神経に見えるカイルですが、実は・・・
というところもお楽しみ。

さて、けれど冷静にみえるアダムでも、耐えきれないときはくる・・・・。



シリアスとコメディの絶妙のバランス。
ガン患者にだって、ユーモアは必要。
とても気持ちのよいドラマでした。
グレーハウンド犬のスケルターもよかったですよ。
どことなくアダムに似ていますね。
二人が寄り添うシーンがまた、なんだかほほえましくなってしまいます。
映画に登場する犬たちが、愛しく感じられて仕方のない、この頃・・・。

2011年／アメリカ／100分
監督：ジョナサン・レビン
脚本：ウィル・レイサー
出演：ジョセフ・ゴードン＝レビット、セス・ローゲン、アナ・ケンドリック、ブライス・ダラス・ハワード