映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

プチ・ニコラ

2011年06月22日 | 映画(は行)
パリを流れる川の名前は?



            * * * * * * * *

フランスで大人気を博したというこの作品は、
ルネ・ゴシニ、ジャン=ジャック・サンペによるフランスの国民的絵本
「プチ・ニコラ」の実写映画化です。

1960年代パリ、
小学生ニコラとそのやさしい両親、やんちゃな友人たちの騒動を描きます。
これは日本でたとえるなら、
「ALWAYS 3丁目の夕日」的ノスタルジーにあふれる作品なのだと思います。
国民すべてに愛される子供キャラ、という点では
サザエさんやちびまる子ちゃんの雰囲気もありますね。
まだ子供たちが放課後に群れて遊んでいたような時代・・・。
今、そんな姿が見られないというのは、
日本もフランスも同様とお見受けします。


ストーリーは・・・
ニコラは、両親のそぶりから勝手に弟が生まれると思い込みます。
そしてそうなると、自分はこの家にいらない存在となり、
森に捨てられてしまうのだ・・・と。
ニコラは友人たちの協力を得て、
何とか両親の気をひこうとしたり、
弟をギャングに誘拐してもらおうとしたり・・・。



このストーリー上の子供たちは、決してリアルな子供象ではありません。
これは大人が想像する子供らしい子供象。
だから子供たちは、かなり極端な思い込みと短絡的な思考に満ちています。
でも、この作品はこれでいいのです。
大人が楽しむための物語だから。
それにしても、大富豪の子、食いしん坊で太っちょの子、
落ちこぼれの子、乱暴な子
・・・それぞれ個性たっぷりで、なんて楽しいのでしょう。
いつのまにか目立ちたがり屋で嫌われ者の優等生までもが仲間に加わっているのも、
なかなかいいんですよね。

担任の先生は、この子たちをまとめるのに非常に苦労しているのですが、
ほとんどお手上げ状態。
でも、彼らへの愛情も感じられ、
この子たちにはこの先生でなければ・・・と思えてきます。
特に、落ちこぼれ君クロテールの
「パリに流れる川の名前」のエピソードが光っています。
また、この子がものすごく可愛いんだなあ・・・。
巻き毛でくりくりお目々。
いいんですよ、勉強なんかできなくたって自転車選手にはなれる!



全編微笑ましくて、目尻が下がってしまう。
そんな作品です。

「プチ・ニコラ」
2009年/フランス/91分
監督・脚本:ローラン・ティラール
出演:マキシム・ゴダール、カド・メラッド、ヴァレリー・ルメルシェ、サンドリーヌ・キベルラン