映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

ラスト・ソルジャー

2011年06月12日 | 映画(ら行)
生き延びることが命題



           * * * * * * * *

ジャッキー・チェンが原作・制作総指揮・武術指導・主演の4役を務めたという作品。
時は紀元前227年中国。
諸国が争いを続ける戦国時代。
梁国と衛国のとある戦場。
双方全滅状態の中で、死んだふりをして生き延びた梁の兵士(ジャッキー・チェン)。
彼は負傷した敵国衛の若き将軍(ワン・リーホン)を捕虜にします。
彼は梁に将軍を生きたまま連れ帰り、褒美のお金と畑を手に入れたいと考えている。
そこでこの二人の奇妙な苦難の道行きが始まるのです。
二人の小競り合いはもちろんのこと、
山賊たちに襲われたり、
何故か味方のはずの衛国の一隊に付け狙われたりと、
3つ巴の逃走・戦闘が繰り広げられます。



ジャッキー演じる兵士は、すばらしい武術の達人というわけではない。
彼は農民なのです。
彼の兄弟は皆、無理矢理戦争に駆り立てられ、戦で死んだ。
父親の「お前だけは生き延びろ、家の血を絶やすな」という言葉を胸に、
どんなことをしても生き延びようと思っている。
それで、とにかく身を守るすべには長けているようです。
もちろん、ジャッキーのことですから、
根は「陽」です。
明るく図太く、
ちょっと抜けていて、たくましい。



一方、捕虜となったのは、若く勇敢で誇り高い将軍。
ワン・リーホン、ステキですね!
ホレボレ・・・。
彼を付け狙うものの正体、これも最後のお楽しみです。
敵味方のこの二人、
生死を分かち合う修羅場を共にくぐり抜ける内に、
心を分かち合うようになっていくのですね。
平和なときに出会っていれば、友達になれたかもしれない・・・と。

やや骨太でありながら、エンタテイメント性を忘れず、
やっぱりジャッキーの陽性が光る。
いい作品だなあ・・・。
何となく、クリント・イーストウッド監督に通じるところがあるかもしれません。
どちらも長い映画人生の経験から、
映画のことも映画ファンの心のツボも、知り尽くしているという感じです。



今作のラストは、実はちょっとショッキング。
けれど、エンディングのNG集で少し救われた気がして、
後味は悪くありません。

平和でのどかな菜の花畑。この光景が心に残ります。

ラスト・ソルジャー [DVD]
ジャッキー・チェン,ワン・リーホン,ユ・スンジュン
Happinet(SB)(D)


「ラスト・ソルジャー」
2010年/中国・香港/
監督:ディン・シェン
出演:ジャッキー・チェン、ワン・リーホン、ユ・スンジュン、ドゥ・ユーミン、リン・ポン