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映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

パイレーツ・オブ・カリビアン 生命の泉

2011年05月24日 | 映画(は行)
大騒動の片隅の純愛



           * * * * * * * *

シリーズ第4作。
初の3D作品です。
今回は、永遠の命をもたらすという「生命の泉」を目指した騒動。
ジャック・スパロウの宿敵バルボッサは、なんとイギリス海軍将校となって登場。
(王のお抱え医師ではなくて・・・)
しかし、後で解るのですが、それはただ地位と名誉のためではないようですよ・・・。

ジャックのこの度の敵は、海賊黒ひげ。
実在した海賊だそうで、絶大な勢力を持ち、大変に恐れられていたとか。
ここではもうかなり年老いて、是非ともその生命の泉にたどり着きたい。
そして、この黒ひげの娘というのが、かつてのジャックの恋人、アンジェリカ。
今では立派な女海賊。
ペネロペ・クルスの雰囲気はぴったりです。
そしてまたややこしいことにスペイン軍までもがその泉を目指している。
敵味方が入り乱れ、泉への道の争奪戦が始まる・・・・。



今作の監督は「NINE」、「シカゴ」のロブ・マーシャル。
そのためかアクションは前作などと比べると、ややおとなしめになっていると思います。
でも、私はその方が好きですけどね。
どんなすごいアクションも、延々と続けられるとあきるし、
眠くなっちゃうんですよ・・・。
それよりも登場人物たちが皮肉に満ちたしゃれた会話を交わしつつ、
だまし合いをするような、
そんなシーンが多い方がいい。
いや、いっそ今作はミュージカルにしてしまっても良かったのかも、
なんて思ったりしましたけど・・・。
今作のジャックとバルボッサの会話などは、なかなかいい感じですよ。
特に、ブラックパール号への愛着が共感となり、
宿敵でありつつ戦友でもある、というのがいいですね。
そもそもこの2人は、別に生命の泉を必要と思ってはいないわけです。
そりゃそうでしょう。
むしろ黒ひげがそんなモノをのぞむ方が不思議。
さんざん殺戮を繰り広げてきたのでしょうに、
今になって自分の命が惜しいなんてね。
そういう気持ちになったところで、もうこの人は終わっています。



さて、その生命の泉の効力を出すためには「人魚の涙」が必要なのです。
そこで一同は人魚の入り江に踏み込むのですが、
アンデルセン童話の人魚とは大違い。
なんと人間を海に引きずり込んで殺します。
ほとんどジョーズみたいに恐ろしくおぞましい群れです。
この辺りのシーンは結構スリルに満ちていますね。
そうして捕らえられた一人(一匹?)の人魚の姿も哀れ・・・。
ちょっとぞくっと来るものがあります。
そして、このとらわれの人魚シレーナと若き宣教師フィリップの純愛が、
バタバタしたストーリーのほんの片隅で、ひっそり花を咲かせまして・・・。
私は好きでしたよ。こういうの。


ジャックとアンジェリカは元恋人といいながら、
さほど濃密なシーンはなかったですね。
というか、考えてみるとこのシリーズ、ジャックは全くストイック。
お子様向けストーリーのためかもしれませんけれど・・・。
ジャックはどうもオネエ系っぽいですもんね。
でも、この作品で私はその秘密をわかった気がしました。
ジャックが瓶詰めにされたブラックパール号を見る目。
これこそ、愛する人を見つめる情熱の瞳でしたね。
彼はひたすら船を愛し、船に情熱を注いでいる。
だから生身の女性には興味ないんですよ。
きっと。


いつものように、長いエンドロールの後におまけのワンシーンがついていました。
これから見る方、お見逃しないように。
・・・果たしてこれは、また続きのストーリーの前振りなのでしょうか・・・?

「パイレーツ・オブ・カリビアン 生命の泉」
2011年/アメリカ/137分
監督:ロブ・マーシャル
出演:ジョニー・デップ、ペネロペ・クルス、イアン・マクシェーン、ジェフリー・ラッシュ、サム・クラフリン