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映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

ホワイトハンター ブラックハート

2010年05月11日 | クリント・イーストウッド
壮大なる寄り道の映画

ホワイトハンター ブラックハート [DVD]
ジェームズ・ブリッジズ,バート・ケネディ,ピーター・ビアテル
ワーナー・ホーム・ビデオ


             * * * * * * * *

この作品、イーストウッド自身が映画監督の役なんですね。
そう。時代はちょっと古くて1950年代。
ハリウッド黄金時代と呼ばれた時代で、ちょうど作品中にも、この映画をカラーにするかモノクロにするかなんて論議がある。そんな時代です。
この監督ジョンがロケのためにアフリカへ行くというので、うん、これは面白そうと想ったのだけれど・・・。
・・・。
はっきり言ってつまらない、というか何を言いたいのか全然よくわかんない作品だった。
うん。実はこれ、「アフリカの女王」のジョン・ヒューストン監督その人をモデルにしたストーリーだったんだね。
この人がほんとに象のハンティングに夢中になっちゃって大変だったっていうエピソードをもとにした原作ストーリーの映画化。
あ、そうなの・・・。何も知らずに見たもんだから・・・。
ということはこれ、その本人を知ってる人が見ればそれなりに面白い作品だったということなんだね。
まあ、そうだろうね。
けど、この作品自体、1990年のものでしょう。
その監督を知ってる人なんてその時点でもかなり限られてたと思うなあ。
ややマニアックな作品だね。
うん、じゃ面白くなかったっていう理由を言ってみて。
まず、この監督、周りのことなんかおかまいなし、破天荒な性格というのはいいんだけど、
イマイチその魅力が伝わらない。単にはた迷惑、って感じ。
ユダヤ人やロケ地の現地人に対する差別を蹴散らそうという正義漢はいいけど
・・・それも唐突な感じ。
予備知識ゼロだと、これはイーストウッド監督自身を反映した「監督」の役なのかと期待してしまっただけに、余計始末にわるかったな・・・。
しかも、象のハンティングに夢中というのが、今時許せない。
まあ、当時は普通だったんだろうね。だからこそ、今の絶滅寸前の状況がある・・・。
結局、彼が象に発砲することはなかったのが救いだけど。
それから、この作品の題名ね。結局現地のハンティングのガイドが象に襲われて亡くなってしまうんだよ。
悲しんだ現地の人が「白いハンター、悪魔の心」とつぶやく。
白人にいいようにされてしまっているアフリカの状況を語っているんだけど、
この映画全般を通して全然そういう問題意識なんか感じられないのに、
そのセリフもあまりにも唐突。
で、いったい何を言いたい映画なのかって頭を抱えたくなってしまったのだけれど・・・。
まあ、そういう事情を聞いてやっと少し納得できたよ。
そう、結局映画撮影のシーンなんて何もなしで、最後に意気消沈した監督がようやくしわがれた声で「アクション」と口を開く。
映画撮影のための、壮大な寄り道の過程を描いた作品だった、というわけでね。
この題名はこう考えるべきなんじゃないかな。
白いハンターは別に白人じゃなくて、この監督個人のことだよ。
カリスマ的名監督ではあるけれど、映画の制作陣にとっては扱いにくくて困りもの。
だから、悪魔の心。
この監督は、確かに才能あるけど、全く扱いにくくて大変なヤツだったんだよ~、
という思いをそのまま題名にした、ということだね。
ああ、そういうことかあ。
じゃやっぱり別に差別とか欧米人の横暴をテーマにしてる訳じゃないっていうのは、たしかなんだね。
その構図が始めからわかっていれば、こんなに期待しないですんだんだよ・・・。
作品の事前リサーチも時には必要ということだねえ。

1990年/アメリカ/113分
監督:クリント・イーストウッド
出演:クリント・イーストウッド、ジェフ・フェイヒー、ジョージ・ズンザ、アルン・アームストロング