映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

ココ・シャネル 

2009年09月20日 | 映画(か行)
恋多き波乱の人生

           * * * * * * * *

今何かと話題になっているようです。
ココ・シャネル。
・・・なんていっているうちに、
もう一つのココ・シャネル「ココ・アヴァン・シャネル」も公開になっています。
どうせなら、二つ見比べるのも一興でしょう、ということで、
観ないつもりが、つい観てしまいました。
さほどブランドには関心がない私。
でも、さすがにシャネルはあまりにも有名です。
知っておいても損はない。

この作品のココ・シャネルは、超ベテラン、シャーリー・マクレーン。
若き日のココ・シャネルは、新人のバルボラ・ボブローバが演じています。
シャネルが15年のブランクを経て、コレクションを開催したものの、失敗。
そのシャネルが若い日を回想し、自らの半生を語ります。


シャネルは子供の頃に母を亡くし、孤児院で育ちました。
孤児院を出てからお針子として働き、そこで将校エチエンヌと恋をする。
しかし、貧しい孤児のお針子では、名門の将校と結婚など夢の夢・・・。
自らデザイン、製作した帽子の店を開くけれどもぱっとしない。
・・・けれどそこでまた、新たな恋。
苦労の果てに、仕事は成功していくのですが、
一般的に言う女性の幸福、結婚はできないのです。
でもまあ、結婚はできないけれども、
常にパトロンがいて、それが成功の鍵となっている。
このあたりが、波乱万丈ですよねえ・・・。

シャネルが他から際立っていたのは、
それまでとにかくコルセットで締め付けていた女性のドレス。
これをうんと着やすく動きやすくしたことのようです。
一次大戦中、ジャージ素材を用いた女性用の服が、人気となりました。
こんな風に、彼女の人生、ドレスの変遷・・・、
とても丁寧に語られている作品だと思います。


さてところで、この映画では語られていませんが、
Wikipediaによりますと、もっと劇的なエピソードもありますね。
つまり、この映画で15年のブランクといわれていますが、
なぜそこで15年ものブランクができてしまったか、ということです。
それはちょうど二次大戦下、ドイツの支配下にあったフランス。
シャネルはドイツ将校と愛人関係になっていたというのです。
・・・そのおかげで、戦時中も生活に困らなかったであろうことが想像できます。
そして終戦。
彼女はドイツの協力者として、フランス中から非難を受けてしまう。
そのためスイスへ隠遁。
しばらくの後、フランスに帰国。
そうして初めてのコレクションだったんです。
・・・だから、不評はデザインのせいだけではなかったのかもしれませんよね。
こんな大事なエピソードをすっ飛ばしたのは、
やはり、シャネル側からの圧力なのか???
ここを映画にしたほうが、
よほど人間味あふれ、ドラマチックになったと思うのですが・・・。


恋多く、波乱に満ちた人生。
さて、オドレイ・トトゥ版は、どんな物語を見せてくれるでしょうか。
こちらも楽しみです。

2008年/アメリカ・イタリア・フランス/138分
監督:クリスチャン・デュゲイ
出演:シャーリー・マクレーン、マルコム・マクダウェル、バルボラ・ボブローバ、オリバー・シトリュック


ココ・シャネル 映画予告