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映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

「夢をかなえるゾウ」 水野敬也

2008年06月06日 | 本(解説)
「夢をかなえるゾウ」 水野敬也 飛鳥新社

いまどきのベストセラーなんですね。
先日著者がテレビのインタビューに出ていたので、興味がわいて、読んでみました。

ある日突然、サラリーマンの「僕」の家に、ゾウの顔したインドの神様、ガネーシャが住み着いた。
大阪弁、あんみつ大好きのこの謎の神様は、
「ワシの言うとおりにすれば、夢がかなう」という。
「僕」の夢とは・・・、
成功したい。
このままでは終わりたくない。
お金持ちになりたい。
ちやほやされたい。
有名になりたい。
変わりたい。

こんな自己啓発本はいろいろあるけれど、
著者が言うには、突っ込みを入れられるような、本が書きたかった、と。
たしかに、奇想天外のガネーシャの言動、行動には笑わせられます。
するする読めちゃうので、人気があるのもよく分かる。

でも、私はなんだか暗澹とした気分になってしまいました。
そうか、若い方はそんなに、成功したいのか・・・。
有名になって、ちやほやされたい???

私自身、もういい年で、そんな気持ちはとっくに枯れ果てているだけなのかも知れませんが、
何も、そんなにあせって自分をかえることなんかないよ・・・と、思っちゃうのです。

ナンバーワンにはならなくていい、オンリーワンでいい。
なんて、歌のセリフじゃないけれど、
それも、なんだかかっこよすぎる気がする。
実際の世の中は、オンリーワンも程遠く、「普通」に埋没することがほとんど・・・。
でもね、平和で、適度に楽しくて、自分が満足と思えればそれが一番・・・、
というのが、多少は山坂を越えてきたオバサンの結論なんだけどな。


夢をかなえるためのガネーシャからの課題はたくさんありますが・・・
・靴を磨く
・コンビニでおつりを募金する
・会った人を笑わせる
・トイレ掃除をする
・その日がんばれた自分をほめる
・運が良いと口に出して言う
・誰か一人のいいところを見つけてホメる。
などなど・・・
確かに、一つ一つは納得できる事柄なんですが、
すべてをやろうと思ったら、たいへんなことです。
自分を律することは大切ではあるけれど、何もそんなにがんばらなくてもいい。
世の成功したといわれる人は、
多分何か一つのことがただ好きで面白くて、
そればかりやってたら、たまたま目立っちゃった、
と、そういう人なのじゃないでしょうか。
こんな、ガネーシャのいうような修行なんかしてないと思いますよ。
ありのままのぐうたらでもいいじゃありませんか。
(まあ、多少の許容範囲はありますけど・・・)
・・・そうだな、もし、周りと比べて、自分が情けないと思うのだったら、
「めがね」という映画を見てみるといいかも。
南の海辺でひたすら「たそがれる」人たちのお話です。
このような生き方を選択するのもアリですよ。

ベストセラーで、あまりにも上昇志向型の人が増えることが心配になってしまって、
こんなことを書いた次第。
まあ、案ずるまでもなく、
たいていの人は読んだだけで、実行はしないでしょうけれどね。

満足度★★