映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

天国の口、終りの楽園。

2008年05月27日 | 映画(た行)

(DVD)

2人の青年フリオとテノッチ、そして、人妻ルイサが幻の海岸”天国の口”まで旅をする、ロードムービー。
高校を卒業した親友のこの2人、かなり下心ミエミエで、人妻のルイサを旅に誘うのです。
ルイサは、夫が浮気を告白したことにショックを受け、その反動で2人と海岸へ目指すことにする。
あられもないセックスシーンや言動が多いですが、そんなにいやな感じはしません。次第に奔放な関係になっていく彼ら3人。
”天国の口”というのは、フリオとテノッチがとっさにでっち上げた海岸の名前だったのですが、
なぜか、そのものの名前の美しい海岸にたどり着く。
そこはまさに、天国の口であり、楽園であったわけですが、
その先は「現実」が立ちふさがっている。
楽園の時は終焉を告げ、2人は大人になる。

そして最後にわかること・・・。
ルイサの奔放さは、単に夫の浮気が原因ではなく、もっと大きな問題を実はかかえていたためだと・・・。
ああ、だからそんなに・・・。と、しんみりとしてしまうわけです。

フリオとテノッチ、この2人は実にいいです。
すっぽんぽんの姿が何度となく出てきます。
それが見所?とは言いませんが、
ガエル・ガルシア・ベルナルファンなら必見ですね・・・。

このように、一見破天荒な映画ではあるのですが、
それは自由気ままでなにものにもとらわれない、まだ、大人ではない彼ら。
そして、現実の生活をまだ見据えておらず、天国の口にいる彼ら。
・・・そういうものを象徴しているのでしょう。

この三人は、メキシコでも都市部に住む裕福な層という設定です。
その彼らが、田舎の風景の中を旅する。
時には軍隊がいて、
時には麻薬の取締りのための検問があって、
また時には親切な田舎の人々と出会う。
そういえば、ハリウッド映画に出てくるメキシコは、
いつも麻薬の生産地であり、銃の打ち合いの耐えないところ・・・、
なんだかそんな印象です。
でも、この映画で、等身大のメキシコを見たような気がしました。
確かに物騒ではあるけれど、純朴で温かい人たち。
美しい南国の海。
こんなところなら行ってみるのも悪くないかも。

2001年 /メキシコ/106分
監督:アルフォンソ・キュアロン
出演:ガエル・ガルシア・ベルナル、マリベル・ベルドウ、ディエゴ・ルナ