多聞 きもの手帳 <男の着物日記>

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宮津節のなぞ

2012年05月10日 | きものと言葉
最近、日本の音楽に興味がありまして。いろいろなCDを聞いたりしているのですが、ちょっと気になる唄に出くわしました。
京都府丹後地方の宮津のことを唄った有名な民謡「宮津節」です。
(民謡の歌詞にはバリエーションがあり以下に紹介するのは一例です)

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二度と行くまい 丹後の宮津 縞の財布が 空になる
(丹後の宮津で ピンと出した)
(丹後の縮緬 加賀の絹 仙台平やら 南部縞)
(陸奥の米沢 江戸小倉 丹後の宮津で ピンと出した)

うたの宮津は入船出船 櫂の掛橋 一文字
(丹後の宮津で ピンと出した)
(丹後の縮緬 加賀の絹 仙台平やら 南部縞)
(陸奥の米沢 江戸小倉 丹後の宮津で ピンと出した)

縞の財布が 思いの種で 二度と行くまいとて 三度来た
(丹後の宮津で ピンと出した)
(丹後の縮緬 加賀の絹 仙台平やら 南部縞)
(陸奥の米沢 江戸小倉 丹後の宮津で ピンと出した)

天の橋立 日本一よ 文殊菩薩に 知恵の餅
(丹後の宮津で ピンと出した)
(丹後の縮緬 加賀の絹 仙台平やら 南部縞)
(陸奥の米沢 江戸小倉 丹後の宮津で ピンと出した)

市松人形じゃ わしゃないけれど 目では泣かねど 腹で泣く
(丹後の宮津で ピンと出した)
(丹後の縮緬 加賀の絹 仙台平やら 南部縞)
(陸奥の米沢 江戸小倉 丹後の宮津で ピンと出した)

月が出ました 黒崎沖に 金波銀波が 鼓うつ
(丹後の宮津で ピンと出した)
(丹後の縮緬 加賀の絹 仙台平やら 南部縞)
(陸奥の米沢 江戸小倉 丹後の宮津で ピンと出した)
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日本三景の一つ天の橋立がある宮津は、一大観光地であるだけでなく北前船の寄港地でもあり全国の名産が集まる。だから、宮津に行くとつい散財してしまう。そのようなことを唄ったものでしょう。

「丹後の宮津で ピンと出した 丹後の縮緬 加賀の絹 仙台平やら 南部縞 陸奥の米沢 江戸小倉 丹後の宮津で ピンと出した」
 
このお囃子の部分は何度も唄われることもあり一番耳に残るところです。全国の着物の産地を列挙しています。
「丹後の縮緬」は地元の名産ですから、最初に来るのは当然でしょう。石川県の「加賀の絹」や宮城県の「仙台平」も有名です。
山形県の米沢は今でも重要な着物の産地です。
問題は「南部縞」です。現在の私たちにはあまりなじみがありません。
辞書を引くとこう書いてあります。
「南部縞:縞の絹織物の一。もと甲斐国に産したが、のち南部氏が陸中南部に転じてから、その地で産出。」(広辞苑)
「南部紬:岩手県盛岡市周辺で織られた紬。南部織、南部縞などの名前が残っているが、現在はない。」(きもの用語辞典)
どうも縞柄の紬の様です。いったいどんな縞なのかネットの検索ではちょっとわかりませんでした。
最後の「江戸小倉」はさっぱりわかりません。いろいろ調べてみた結果行き着いたのは、
「江戸小倉」ではなく「江戸」「小倉」ではないかという話。
「江戸」は江戸小紋を、「小倉」は小倉織をそれぞれ省略しているのではないかというのです。まあこれが一番しっくりくる説明でしょうか。

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