多聞 きもの手帳 <男の着物日記>

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國語元年

2011年02月04日 | きもの映画館/文学館/漫画館
正月にNHKで放映されたドラマ「國語元年」を観ました。
明治初期に「全国共通はなしことば」制定を命じられた役人の苦労をコメディ調に演出した井上ひさし脚本のドラマです。
主人公は政府の官僚ですからそれなりの家柄で、家には全国各地出身の使用人がいて、それぞれのお国言葉ではなします。そのテンポの良いかけあいが楽しくて、さすが井上脚本です。
当初主人公は発音を統一する、つまり「なまり」をなくせば、話し言葉の標準化ができると信じて、自身の使用人にも独自の「発声練習」を強要します。
しかし、しばらくして発音の改善だけではどうにもならないということに気がつきます。
 あるとき家の大旦那様の六尺褌が紛失してしまいます。そのことを使用人たちは主人に伝えようとしますが、なかなかうまくいきません。
「褌」には別称が非常に多く存在し、使用人たちは自分の国の言葉で表現するためわかりにくいのです。最後に米沢出身の新入り女中(石田えり)が
「大旦那様の「股割りきんかくし」がなぐなってしまった」
と叫んでやっと意味が通じます。
結局は、大旦那の六尺は、お坊ちゃんが、頭巾の代わりにしていた(笑)ことが発覚するのですが、方言の多様性を表現する巧みな演出です。
このドラマ自体はフィクションですが、明治時代の言葉の多様性を考える上でとても刺激的でした。
しばらくは、明治の「言葉」と「きもの」を巡る旅に出ようかと思っています。

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