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マッキー騒動から考えるカミングアウト回避のインセンティブ

2007年01月24日 02時28分55秒 | カミングアウト論

 akaboshiさんがブログで紹介して波紋が広がったマッキーのカミングアウト騒動ですが、ここからカミングアウトを回避するメカニズムの1つについて考えてみましょう。実際に槇原さんが当てはまるのかどうかは分かりませんが、ぼくの観察ではよく見られる現象だと思います。

 槇原さんは、曲がりなりにも(^^;;へテロということで活躍をしてきました。ですが、実質上、公然の秘密であることくらいだれもが百も承知。
 あとは公式に認める戦略と、認めない戦略を天秤にかけたときになんらかの内部的な理由により、認めない戦略を選択し続けているということだと思います。その内部的な理由が何かっていうことですよね。

 問題の一つは現実に起こることを正確には予想できないこと。常に、バイアスがかかっています。言い換えると思い込み。
 いままでに獲得してきたファン層のいくらかは同性愛じゃないマッキーにひかれているとすると、公表することで離れる可能性を否定できない。 ならば、そのリスクを侵してまで正式に公表するのを回避する。 これが一つのストーリーです。

 一般的なカミングアウトの回避メカニズムはそんなもんですよね。

 ある前提でものごとが回りはじめてしまったら、その前提を切り崩すにはリスクが伴います。
 会社の経営方針にしろ、政党の政治方針にしろ、しばしば起こることですね。会社があるよくない方針で利潤を出しているときに、その方針が良くないからといっておいそれと変えることはない。変えてしまえば今いる顧客を逃がす可能性があるからです。より良い経営方針にすれば、新しい顧客層を捉えてより良い経営ができる可能性はありますが、本当にそうなるかどうか分からない。リスクが必ず伴います。
 そうなると、真実でない前提、善くない前提も回りはじめると、変更に付随するリスクが発生します。そこに利害が発生する企業サイドが大きな前提の変更を恐れるのはよくあることですね。
 この場合、リスクは過大評価される傾向があります。

 同様のことは、カミングアウトでも起こります。
 自分がノンケであるという前提で出来上がった人間関係がある。そこから居心地の良さなどの利得を得ている人がいる。そうなると、そこでカミングアウトをしてその人間関係を試すようなマネはせず、ときどき結婚の話が振られたりしたら適当にごまかしたりしておく方が良い、と判断をする人は多いわけです。わざわざひょっとしたら関係性のあり方が変わり、良くなるかもしれないけれど、悪くなる可能性も否定できない場合には、カミングアウトをしない戦略を選択することになります。

 


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