MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『マチネの終わりに』

2020-01-29 00:49:06 | goo映画レビュー

原題:『マチネの終わりに』
監督:西谷弘
脚本:井上由美子
撮影:重森豊太郎
出演:福山雅治/石田ゆり子/伊勢谷友介/桜井ユキ/木南晴夏/風吹ジュン/板谷由夏/古谷一行
2019年/日本

駄作を越えて怒りを覚える作品について

 映画を観賞しながらだんだんと怒りが込み上げてきたという経験をしたのは久しぶりかもしれない。
 主人公は蒔野聡史という38歳、独身のギタリストなのだが、蒔野は友人とたまたま彼のリサイタルに来ていた小峰洋子に一目ぼれしたらしく、三回目の再会で洋子に「もし洋子さんが地球のどこかで死んだって聞いたら、僕も死ぬよ」と大見得を切り、「私、結婚するの」と言う洋子に「だから止めに来た」とはったりを噛ます。しかし例えば、ギターの師匠である祖父江誠一が脳出血で緊急入院し、洋子との約束をキャンセルしなければならなくなった蒔野だったが、スマホを失くしてしまい、代わりにマネージャーの三谷早苗の業務用の携帯電話を借りて連絡を取るのだが、もともと蒔野のことが好きだった早苗が細工して、2人を別れさせてしまうのである。
 しかしその後メールを読んで、洋子が誤解していると感じた蒔野は空港で洋子が長崎から帰ってくるのを待つのだが、その後、シーンは一気に4年が経ち、何と蒔野はその早苗と結婚して子供まで作っているのである。仮に蒔野本人が病気で入院しているのなら理解できなくもないが、何度も書くが「もし洋子さんが地球のどこかで死んだって聞いたら、僕も死ぬよ」と大見得を切った男がその後洋子を探し出すこともなく、独身を貫くのならまだしも、その原因を作った早苗と結婚しているのである。あまりにも志が低くはないだろうか? その上、洋子の方は同級生のリチャード新藤と結婚するものの、上手くいかずに離婚しているのである。ほとんど詐欺まがいの蒔野の罪はかなり重いと言わざるを得ない。
 脚本が悪いのか原作が悪いのか確かめるために原作を読む気にもならず、こんな男が奏でるギターの音色に誰が感動するのかよく分からないが、個人的には意地でも感動しないと断言しておきたい。


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