MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『ヤクザと家族 The Family』

2021-02-03 00:58:09 | goo映画レビュー

原題:『ヤクザと家族 The Family』
監督:藤井道人
脚本:藤井道人
撮影:今村圭佑
出演:綾野剛/舘ひろし/尾野真千子/北村有起哉/市原隼人/磯村勇斗/岩松了/豊原功補/寺島しのぶ
2021年/日本

名も無き「生け贄」について

 主人公の山本賢治は1980年生まれだから、冒頭の1999年の時は19歳で、馴染みの店で食事中に敵対する組員たちに襲われた柴咲組組長の柴崎博を助けたことが縁で、その後、怨みを買った暴力団員たちに拉致され臓器を売らせるために香港に船で運ばれる寸前で逆に柴崎に助けられ、父子の契りを結ぶことになる。
 2005年に敵対する組員の一人を(身代わりで)刺殺したことで14年服役することになるのだが、2019年に出所した頃には1992年に施行され、その後数回改正された暴力団対策法や暴力団排除条例により暴力団そのものが社会から抹殺されようとしており、組員の数が激減した結果、残った者たちは融通のきかない老いた者たちだけだった。
 そんな時に割りを食う者とは若者と年寄りに挟まれ、社会と新しいルールの歪に巻き込まれる山本賢治で、敵だけではなく、守ろうとした愛する女性や舎弟からも怨みを買うのである。本作はフィクションではあるが、このような人物がいたであろうことは想像できる。
 山本が住む場所の空撮が、最初は工業地帯だったのだが、だんだんと住宅地に変化している様子も上手く描いていると思う。


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