MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『喜劇 愛妻物語』

2020-09-17 00:59:25 | goo映画レビュー

原題:『喜劇 愛妻物語』
監督:足立紳
脚本:足立紳
撮影:猪本雅三
出演:濱田岳/水川あさみ/新津ちせ/夏帆/大久保佳代子/ふせえり/光石研
2019年/日本

喜劇を装った悲劇について

 主人公の郷太は平成20年に『暴力温泉』という脚本で入賞して以来、脚本家として働いているもののなかなか企画が成立しないまま10年以上の時が流れ、現在の年収は50万円で妻のチカのパート頼みになっている。
 そんな時に、「ものすごい速さでうどんを打つ女子高生」の話を脚本にするためにシナハンをしに娘のアキも連れて青春18きっぷで香川県に行くのだが、既に他の人たちによって映画化が決定していることを知り、2人は愕然とする。
 しかし郷太は本作の最初から最後までセックスのことしか考えていない。セックスのことしか頭になくて吾妻と電話をしている内に小豆島の海岸で一緒にいたアキを見失ったり、酔った若い女性の下着を覗き込んで警官に事情聴取されたりしており、けっこう「ギリギリ」で、ついには脚本がボツになったことを知り道端で離婚すると言いながら号泣するチカを郷太が上手くなだめるのだが、ここまで来るとわざわざタイトルに「喜劇」と書かれているのは実は「悲劇」だからではないだろうか。
 結局ボツになった郷太の脚本の『八日村の祟り』は「八つ墓村」のもじりだとは思うが、チカが号泣した日が8月8日だったことと関係がないことはないと思う。


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