MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『宇宙でいちばんあかるい屋根』

2020-09-24 00:30:07 | goo映画レビュー

原題:『宇宙でいちばんあかるい屋根』
監督:藤井通人
脚本:藤井通人
撮影:上野千蔵
出演:清原果耶/桃井かおり/伊藤健太郎/吉岡秀隆/坂井真紀/水野美紀/山中崇
2020年/日本

数々の「超越」を巡って

 主人公の大石つばめは14歳の中学生だが、父親の敏雄の再婚相手の麻子との間に妹が誕生することで、一人だけ仲間外れにされるのではないかと不安に陥っている。つばめが通う書道教室があるビルの屋上にはもう一人の主人公である「星ばあ」が勝手に住み着いているのだが、彼女は逆に最愛の孫に会えないことを悩んでいる。
 「血」の繋がりをベースにつばめの「視線」の上下がストーリーに深みを与えているのだが、それは「血縁」という問題を越えて生死の問題へとつながっていく。
 興味深い点は2人ともスマホを使いこなしているにも関わらず、最後は糸電話で言葉を交わし、ラストはそれまで色鮮やかな画面で映されたビルの屋上からの街並みがつばめの描いた水墨画で終わるところである。限りなく余計なものを削いだ「音」と「像」こそが血を越えた絆にとって大切なものだと気づかせてくれるのである。


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