MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『僕たちの嘘と真実 Documentary of 欅坂46』

2020-09-07 00:28:39 | goo映画レビュー

原題:『僕たちの嘘と真実 Documentary of 欅坂46』
監督:高橋栄樹
撮影:上池惟考
出演:平手友梨奈/長濱ねる/菅井友香/小林由依/渡邉理佐/小池美波/齋藤冬優花/守屋茜
2020年/日本

「平手友梨奈観点」からの欅坂46について

 最初に印象的なシーンを挙げてみたい。「黒い羊」のMV撮影が終わった後に、メンバーたちが床に倒れている平手友梨奈のもとに駆け付けるのであるが、そんなメンバーたちのそばでただ黙って立ち尽くしたまま見つめているメンバーがいて、おそらくそれは鈴本美愉だったと思う。ここは象徴的なシーンで、グループの中で完璧にダンスをこなすメンバーの一人だった鈴本と、型を崩してでもエモーショナルに観客に訴えるパフォーマンスを得意とする平手との確執が現れているように思うのである(口にはしなかったが小林由依も平手には一家言あったようである)。
 しかし平手はデビューから頭角を現し、グループ最年少であるにも関わらず不動のセンターで、物おじせずに積極的に自分の意見を述べ、もはや「平手友梨奈 with 欅坂46」状態で、それはキャプテンの菅井友香も認めていた。例えば、乃木坂46のようなユルさがなく考え抜かれたパフォーマンスであるが故に、平手の代わりにセンターに立つということは「完成品」を見せられないという意味でプレッシャーがかかることは理解できる。そしてそんな平手の「天才」がメンバーのみならず平手本人も苦しめることになったのは不幸としか言いようがない。
 ところでプロデューサーの秋元康はそんな平手の感性を舐めていたような気がする。多作の秋元にとって一曲は「ワン・オブ・ゼン」でしかないだろうが、「不協和音」、「ガラスを割れ!」、「アンビバレント」、「黒い羊」という流れで散々煽るような曲を提供された平手の感受性は確実に追い詰められていたはずで、「黒い羊」の次にどのような顔をして「10月のプールに飛び込んだ」歌を歌えばいいのか分からなかったのではないだろうか。
 欅坂46のラストシングルとなる「誰がその鐘を鳴らすのか?」は今年の秋元康作品の中では一番良い曲だとは思う。

欅坂46 『誰がその鐘を鳴らすのか?』 from KEYAKIZAKA46 Live Online,but with YOU!


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