原題:『Dans la maison』
監督:フランソワ・オゾン
脚本:フランソワ・オゾン
撮影:ジェローム・アルメーラ
出演:ファブリス・ルキーニ/エルンスト・ウンハウアー/エマニュエル・セニエ
2012年/フランス
虚実入り交じる中で生まれる嫉妬について
「危険なプロット」という邦題ではあるが、何が危険なのかと問われると的確な答えが思いつかない。確かに原題は「家の中」というもので邦題とは全く繋がりはなく、危険も何も無いのであるが、作品を観る限りにおいてはサスペンスフルではあるのだ。
若い頃は作家志望だったものの、今は高校の国語教師として働くジェルマン・ジェルマンは退屈な教え子たちの作文の中にクロード・ガルシアという生徒が書いた興味をそそられる作文を見つけ、やがて個人指導をするまでに入れあげるのであるが、ジェルマンがクロードの文章に魅かれた理由が、ただたんに文才によるものなのか、あるいはクロードが他人の「家の中」を描いていたことで刺激された「覗き見趣味」によるものなのかよく分からない。
しかしクロードがラファ家からお払い箱にならないように敢えて数学の試験問題を事前に取得する不正を働いたところをみると、純粋にクロードの文章を評価しているようには見えない。そして虚実入り交じるクロードの文章にジェルマンが過剰に反応した理由は、クロードがラファの母親のエステル・アルトールと関係を持とうとした時なのである。これは「危険」というよりも生徒(=恋人?)を奪われることによる「嫉妬」なのではないだろうか?
ラストシーンにおいてジェルマンとクロードが一緒に椅子に座りながらアパートの部屋を見ているのであるが、左上の夫婦は暴漢に襲われていたから、ぼっと見てないですぐに警察に通報するべきだと思う。