原題:『偉大なる、しゅららぼん』
監督:水落豊
脚本:ふじきみつ彦
撮影:明田川大介
出演:濱田岳/岡田将生/深田恭子/渡辺大/貫地谷しほり/佐野史郎/笹野高史/村上弘明
2014年/日本
深田恭子の「挙動不審」の原因について
本作は、日出家に60年間仕えていた源治郎の記憶の問題に焦点が当てられることになる。それは元々は秋田県出身で許嫁がいたものの、日出淡十郎から与えられた「聖水」を飲むことで日出家の人々に記憶を消されたことを思い出し、失った60年間の恨みを晴らそうとするのであるが、理由はどうであれ、思い出すことで人生が狂ってしまうこともあるし、一度はこの世から消えたはずの棗広海が新入生としてやって来ることに日出淡十郎と日出涼介だけは広海の功績を覚えているという記憶のメリットもあり、その記憶具合のさじ加減はなかなか難しいものではある。
しかし私が問題にしたいことは日出清子を演じた深田恭子の存在で、例えば、石に座りながらタバコを吸う時の深田恭子が脚を組んだり組まなかったり、あるいは海辺で佇む深田恭子の前髪が跳ねたり跳ねなかったりする時に、もはや一流と言ってもいい「偉大なる」深田に対する演出に監督が遠慮したように見えるのである。
万城目学の小説が原作ということでかなり期待して観に行ったが、『プリンセス トヨトミ』(鈴木雅之監督 2011年)ほど特異な世界観が広がっていかず、意外とこじんまりとしている。