原題:『きみの友だち』
監督:廣木隆一
脚本:斉藤ひろし
撮影:芦澤明子
出演:石橋杏奈/北浦愛/吉高由里子/福士誠治/森田直幸/柄本時生/華恵/中村麻美
2008年/日本
チョコレートと写真と「ハンディ」と
上のタイトルバックを見ても分かるように、本作は長回しとロングショットが多用されているのみならず、画面に現れる2人の登場人物の向きも細かく配慮されているように感じる。例えば、小学4年生の和泉恵美と楠原由香が縄回しの練習を終えて、公園のそばにある「なかむら屋」で50円の焼き団子を買って、店の横に置いてある長椅子に座って食べながら、「もこもこ雲」を探そうと恵美が立ち上がって空を見つめると同時にカメラがクレーンで上がっていくまでのワンショット、あるいは弟の同級生の三好が「なかむら屋」を訪れると、語りかけてくる女性の声が聞こえてくると同時に、クレーンで降ろされたカメラに、公園で雲の写真を撮っている恵美が写り、三好と恵美が公園で語り合いながら恵美がブランコに乗っている三好を撮るまでのワンショットなどは素晴らしい。この上下の動きの確かさは、亡くなった由香が使っていた病院のベッドに横たわる恵美が天井を見つめて号泣する感動的なシーンにつながるのである。
しかし何故かハンディカメラによる横移動がやたらとぶれており、例えば、サッカー部で万年控えだった佐藤が実家のピアノ教室に通う琴乃の帰宅を見送るシーンのハンディカメラによるシーンや、受験のために一人で甲府駅の電車のホームを歩く恵美を、向かいのホームからロングショットで追うハンディカメラによるシーンなど、映像がブレてしまっているのであるが、だからといってそれが登場人物の心理を表しているわけでもなく、佐藤がコーチとして部活の後輩の練習に参加する際に、やりすぎて後輩の和泉文彦に怪我を負わせるまでの横移動のシーンは上手く描かれているが故に、不必要な長回しのブレが惜しいと思う次第である。