昨夜のこと、毎日のように飲んでいるコーヒーを突然飲みに来た闖入者がいた。翅をバタバタさせているから昆虫であることは確かだ。近づいても逃げようともしない。しばらくたってやっと落ち着いたので見てみると、バッタであることがわかった。
顔の先端は尖がっていて、眼は小さくてかわいい。しかし、顎は強そうだ。口の周りが赤いのが食いついたら首をも残しても離れないという「クビキリギス」。口の周りが黒いのが体色が渋色の「シブイロカヤキリ」。したがってこの闖入者はシブイロカヤキリということになる。
コーヒーカップからなかなか離れないシブイロカヤキリに対し、がまんしていた当局は犯人を強制排除を強行。それでも逃げようともしないで茶碗にしがみついている。ただし犯人は、イネ科の硬い植物をかみくだすほどの顎の持ち主。かまれると出血するそうなので慎重に護送して山に釈放。家のまわりでは「ジャー…」とけっこう大きな周波数で連続的に鳴いていた。どうも鳴いていたのは心配していた仲間らしい。耳鳴りとそっくりの鳴き方なので間違えやすい。
バッタには、鳴くのが得意な部族と跳躍が得意な部族がいるようだ。鳴く部族は運動能力が苦手、跳躍部族は声を出さないなどの特徴がある。バッタにも得意・不得意があることを知る。自然界の奥行きは深く多様である。