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山里に生きる道草日記

過密な「まち」から過疎の村に不時着し、そのまま住み込んでしまった、たそがれ武兵衛と好女・皇女!?和宮様とのあたふた日記

ひとり一人の生き方が日本の行方を左右する!

2019-01-06 19:12:58 | 意見・所感

 「朝日新聞」の元日号の特集では、AIで予測した日本の未来(2050年)は、大きく分けると地方分散型か都市集中型に分かれるという。昭和のシステムは、東京一極集中や単線型仕事人生に象徴される。持続可能な未来を形成するには、地域活力を生かしたエネルギー自給・地域交通などの政策変更をとるとともに、「自ら変わろうとする若者たちが」鍵となるという。「今はわずかな人々しか歩いていない踏み跡でも、この国の未来を導く道になる」と結んでいる。

 「社説」では、政治改革の結果は「安倍1強」体制に収斂されてしまったが、官邸の下請け機関と化した「国会」の惨状を憲法53条後段の「四分の一以上の議員要求」があれば臨時国会を開けるという仕組みをもっと利用すべきと問う。そのためにも、「政治に緊張感を持たせる最良の手段は、主権者が厳しい視線をたやさないこと」とまとめる。

  

 「毎日新聞」の1面では、主筆の小松浩氏が「過去の世代が何をなしたかに、あとの世代の生き方も運命づけられる」として、「いまさえよければ」と破滅に至った過去の歴史からわれわれは「未来へつなぐ責任」があると、問う。 

「社説」では淡路島の500人ほどの仁井地区では廃校を日本語学校に変え、外国人との交流と地域の活力が出てきた事例を紹介している。このことから、「議論をする。互いを認め合う。結論を受け入れる。リアルな肌ざわり省いたら民主主義は後退する。」と、AIのメカニズムとは違う民主主義のプロセスの多様性を提起している。

   「産経新聞」には国際基督教大学の森本あんり教授のインタビューを載せていた。  「トウモロコシが一つの品種になっていたら、一つの疫病で全滅しかねない。個人も社会も同じだ。打撃を受けた際、多様性があれば、被害を最小限に抑えて再起できる」と。

 5紙の社面から覗えることは、ひとり一人の自分なりの価値観・生き方をしっかり構築していくこと、その意味でのお互いの多様性を認め合うこと、ポピュリズムに迎合しない「知」の構築をたゆまぬこと、それらがこれからの社会を形成していくことだ、と思わせる新年だった。

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平成は「敗北」の時代!?

2019-01-03 09:16:04 | 意見・所感

  「産経新聞」の年頭所感では、財界人の言葉「平成は<敗北>の時代だったな」という言葉を紹介する。その原因については ①戦後復興の慢心 ②政治の混迷 ③中国独裁体制支援の失策、を論説委員長はあげている。トランプ政権になって良かったと明言する委員長は、「日米安保さえあれば大丈夫だ、という思考停止の時代はまもなく終わりを告げる。この国自らが厳しい選択をその都度迫られる新しき時代こそ、日本人は戦後の呪縛から解き放たれる、とまとめる。この意見には同意できる。

 1面の「科学力 日本人が足りない」とする日本の針路をめぐる特集は、日本の研究現場に日本人学生の応募が少なくなり、今では留学生なしにはやっていけないという。それに対し、中国・ロシア・アメリカなどの科学軍事予算の拡張はめざましく日本の委縮と後退が際立つ、という。むかしの産経新聞は権力寄りでヒステリックな言説が目立っていたがこのところリアリティーを重視する編集になってきたのを感じる。

   

 「読売新聞」は、洋上の風力発電は原発1基分の能力があるとして、東電の計画を紹介している。原発のリスクが大きいと判断したためだ。東電もやっと腰をあげたようだが実用化にめどがついてきたと言う。収益や利益率から自然エネルギーに移行するという考え方が気に入らないがね。

 「社説」は産経と同じくかなりヒステリックな言説がなくなってきたのが特徴だ。しかし、「自衛隊は、米軍との連携を強化し、装備と能力の高度化を進めるべきだ」と従来通りの対米忖度の姿勢は変わっていない。

 

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記者魂あふれる「東京新聞」元日号

2019-01-02 00:00:23 | 意見・所感

 今年も新聞各紙の元旦の社説や記事を比較してみる。朝日・毎日・産経・読売・東京の5紙だ。この中で一番ページ数が少ない東京新聞だけが記者魂があふれていた。1~2面では「原発のない国へ、福島からの風」で、飼料作物からのバイオマス発電を紹介している。放射能で汚染された農地と町を再生する切り札として「ソルガム栽培・コウリャン」の実証試験が今月から始まるという。東京新聞は一貫して原発問題を前面に報道し、ブレないジャーナリズム精神が貫徹している。他の大手の新聞は多面的ではあるが日本で何がもっとも今課題なのかというところでは突込みが足らない。

   

 さらに、オイラと竹馬の友である元原子力規制委員会のナンバー2だった「クーちゃん」こと・島崎邦彦氏の怒りも吐露されている。電力会社にもっとも厳しい評価をしていたクーちゃんに原発推進側や内閣府からの圧力があったという。そして任期も継続されず規制委員も降ろされてしまった。それ以来、原発の再稼働が加速していく。

 この辺の事情についてマスコミの沈黙は甚だしい。クーちゃんは「僕はずっとだまされ続け、気づけないでいた」と反省しつつ、「練達の行政マンにとって世間知らずの研究者を操るなど容易だ」と若い研究者に警鐘を鳴らしている。一徹なクーちゃんの心意気は明確で頼もしいが、マスメディアはそれにメスを入れないままのボケぶりは全く恥ずかしい限りだ。オイラも初めて知った権力の「いじめ」だった。他紙にはそういう暴露スクープはなかった。

                 

  東京新聞は原発問題だけではない視点も提起しているところがまた素晴らしい。つまり、是枝裕和監督を登場させて政治的なメッセージではなく「足元に小さな物語」を一つずつ積み重ねて自分のあり方の手掛かりを構築していく重要性を説く。残念ながらいまは社会や企業への順応性を競う状況が蔓延していると指摘する。そうした閉塞状況に対して、「映画や小説にできることは恐らく、免疫力を少しでも高めていくような地道な作業」だと言う。ひとり一人の「小さな物語」を築く新年がやってきた。

 

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坂上忍の的確な怒り

2018-06-22 21:26:18 | 意見・所感

 フジTVのトークバラエティ「バイキング」が冴えている。従来フジ系番組は芸能情報が多くてニュースを知りたい者としては見向きもしなかった。しかし、最近の日大アメフト問題の取り上げ方の鋭さは他局の追随を許さない。とりわけ、坂上忍の鋭い視点の確かさがある。それはスポーツコメンテーターの曖昧な意見や関係者との慣れあいを暴く切れ味がある。

 

             

 日大・加計学園・至学館大学に共通する上意下達のワンマン体質、教育を忘れた大学、物言えぬ組織的体質など、それは日本の従来的組織が蝕まれた姿でもある。他局ではそれなりに報道もされているが問題を継続的に掘り下げていく作業という点では「バイキング」に軍配。「もうこの問題はもういいよ」となりがちだが、一歩も引きさがらないのが素晴らしい。

 

             

 ニュースコメンテイターとしては報道ステーションの「後藤謙治」さんが最も的確なコメントがあると思っているが、今の坂上忍さんの直視する真実にはブレがない。それもウイットとシニカルに富んでいて、TBS「ひるおび」の恵俊彰さんの絶妙のお笑いを突き抜けている。

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特攻隊と日大との連続線

2018-06-13 21:23:09 | 意見・所感

 ときどき深夜番組のドキュメント番組を観ることにしている。テーマはどれも関心はないのだけれど、国民の一人として風化されそうな真実を忘れないようときどき観るよう自分に課している。先日の「テレメンタリー2018/不死身の特攻兵」は、9回特攻攻撃を命じられながらも9回生還した佐々木友次さんを取り上げていた。その理由は当時の上官だった岩本益臣大尉の言葉だったという。

 

   

 「爆弾を命中させることで体当たりで死ぬことが目的ではない。これぞと思う目標をとらえるまでは何度でもやり直しをしていい。一度だけの攻撃でおしまいというのは、余計に消耗(操縦者・飛行機)を大きくすることだ。」と、当時としては開明的な上官だった。とはいえ岩本大尉の死後、現場は「死んでこい」と何度も言われてきたと言う。

 

                        

 元第6航空軍司令官だった菅原道夫は、「いくさというものは天皇の命令もお前は死ねとはおっしゃらない。我々も誰もお前は死ねとは決して言わない。志願ということによって出発した。」と語る。志願か命令か、そこには日大危険タックル問題ときわめて似ている空気がある。劇作家の鴻上尚史も特攻隊にまつわる問題と現代が抱えている問題とが連動していることを突き止める。

 

                 

 佐々木さんはその特攻隊体験から「自分というものが無くなる。何も考えなくなってしまうから死にやすいんです」と語った。鴻上氏は、佐々木さんの生還は希望であり、不合理や苦しみの構造は今も変わっていないのではないかと指摘する。それはまさに日大経営者問題や財務省文書するものだから改竄問題へとつながっている。それは人間を思考停止にするものだから。もしくは、芸能情報やパンダ情報などのバラエティー回路を太くして、不都合な真実の回路を遮断する構図でもある。

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元旦恒例の4紙「社説」を読む

2018-01-01 21:26:41 | 意見・所感

 元旦の朝、新聞を買いにコンビニに行く。日本経済新聞・読売新聞・産経新聞・朝日新聞の4紙があったのでそれを購入し、さっそく社説を読む。

 「読売」の社説の半分は北朝鮮情勢に費やして、「日米同盟は日本の外交・安保政策の基軸であり続ける」べきだとする。「読売」らしい長文の政府代弁記事だ。景気浮揚は眠っている金融資産3000兆円を動かす政策がカギとしている。

「産経」の社説の半分は、国防最前線で活躍している自衛隊員を描き出す。交通事故で負傷した日本人を助けた米海兵隊員がそこで車にはねられ重傷である美談を掲載している。記事の取り上げ方がやはり「産経」手法なのが気になる。しかも、首相の年頭所感と桜井よしこさんらとの座談会を大きく取り上げている。

 「日経」の社説は、景気が上向きになった今こそ社会保障や財政健全化などの難問に骨太の方針が必要と提起している。相変わらず、淡々とした短い社説である。

 「朝日」の社説は北朝鮮の脅威にまったく触れていないのが特徴。与党が政権維持を自己目的化していて長期的時間軸の政策が必要と提起。他の記事には、矢沢栄吉「一瞬のハッピーがあれば人はまた走れる」、いきものがかりの水野良樹「人との<分かりあえない>を超える歌がある」こと、脚本家の森下佳子「行く先の先回りをやめてまずは右往左往」することの意味、「逃走は<闘争>です」とする浅田彰などのディープな記事が満載して他紙を圧巻。

 それぞれの主張は従来のスタンスと基本的には変わりがないが、重点がかなり違うのがわかる。共通しているのは、目先ではなく財政再建や社会保障などの骨太方針を着手すべきというところだった。

 日本をどういう社会にしていくかの理念がない。哲学者や詩人がもっと活躍しなければならない。それには江戸から近代への遺産から学んでいくなかにヒントがあるように思えてならない。それはつまり西洋と東洋との進取の歩みから学ぶことではないかと。

 

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脱炭素革命に遅れるなよ!

2017-12-26 19:29:06 | 意見・所感

 パリ協定実施のための「COP23」の裏側で世界の大企業の幹部が集まって脱炭素の商談をしていたことは知られていない。(COP23とは、「気候変動枠組み条約第23回締約国会議」の略,今年11月にドイツで開催。2015年パリで開催されたCOP21で採択されたのがパリ協定。)

 石油王のロックフェラー財団もすでに6兆円弱を投資していた化石燃料から撤退を表明し再生エネルギーへシフトすることを表明していた。

 日馬富士の暴行事件には詳細な情報を連日しつこく報道しているのに、今後の日本のエネルギーの行末を決定づける再生エネルギーの展開と動向にはマスコミの大半が目をつぶっている。

              

 トランプ大統領はパリ協定から撤退したが、アメリカのマイクロソフト・コカコーラ・ウォルマートなどの巨大企業が参加している。日本からはリコー・イオン・戸田建設・富士通・積水大和ハウスなどの中堅企業12社が参加しているだけで大手の大企業は参加していない。

 

        

 環境対策では世界の先進にいる日本なのに、原発の再稼働や石炭の火力発電には前向きだが再生エネルギーには消極的だ。地熱発電や洋上風力発電ではトップを占めている日本だが投資がなかなか行われない。むしろ外国からは前向きな反応があるのに臍をかむ。

 

     

 日本の電力会社は既得権益ばかり執着して阻害する側になるばかりか、高額な「再エネ発電促進賦課金」だけはしっかり徴収している。

 外国の投資家からは、「日本は高度な技術力があるのに<変わる勇気>がない。このままでは世界から取り残される」と危惧されている。アメリカの流通大手のDHLは、電気自動車のトラックを自家生産しなけりゃ間に合わないと外注ではなく自社生産に踏み切った。

 

         

 中部電力は、有名俳優を動員して連日CMに力を入れ、さりげなく原発の安全性をもPRする。原発推進には世論誘導に予算を投入するのが鉄則だからでもある。

 それに比べ世界の投資家や金融機関は脱化石燃料にシフトし始め、ガソリン車撤廃・エコ文明を表明した中国へ熱い視線を向けている。太陽光発電の生産も中国がトップとなった。

 自然との共生を大切にしてきた日本にとって世界や地球への貢献は必然であるはずだ。「新しい産業革命」と言われるこの分野にもかかわらず、目先の利益や権益に汲々としている日本の官民のほころびはすでに次々事件化してきている。

 先進諸国では日本だけが取り残された。ビジネスチャンスはもう失ってしまったのか。政府の「人づくり革命」もなんと底の浅いものか、やはり、松下村塾から出直さなけりゃならないのだろうか。

 

 

   

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【偸安】(トウアン)という言葉

2017-10-04 18:56:35 | 意見・所感

大西巨人原作のマンガ『神聖喜劇』を読み始めた。

軍隊内の不条理をリアルに告発した大作だが、ときどき難しい言葉が出てくるなか、読めない・意味が分からない「偸安」という言葉があった。

 

           

 「偸」(トウ)とは、漢和辞典によれば盗むという意味がある。そこで、常用している旺文社の国語辞典で「偸安」という言葉を調べた。

 すると、「現在の無事に安心していて、将来を考えないこと」と書いてあった。  

 

 パソコンで言葉を調べたら「目先の安楽をむさぼること。一時しのぎをすること」と表記しているのが多い。

 内容的には、旺文社の表意が優れている気がした。

 二・二六事件の「決起趣意書」には、ときの軍部や政府の腐敗に対しての言葉として引用されていた。

 

 ひるがえって、この「偸安」という言葉は、現在の日本の現状を表す的確な言葉ではないかと思った。

 総選挙をめぐる日々の動向もそうだが、本質的に戦後の歩みは国民も権力もそうした選択をしてきたのではないかと思わざるをえない。

 人ごとではないが、「想像力」を作動せずに思考停止したため漂流する世論に判断をゆだねてきた結果のツケが今の混沌を招いているのではないだろうか。

 そんななかで「何からはじめるべきか」の課題が迫ってくる。

 

    

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小さな農協の大きな快挙

2017-04-23 09:45:56 | 意見・所感
 羽咋市(ハクイ)の農協が無農薬・無肥料を重視する「自然栽培」を重視する事業を展開したというニュースをみた。
 採算が合うのか心配したが、それを「売り」にしていく戦略だ。
 それは日本の零細な農業を救っていく希望だ。

                            
 やっとだ。
 農協の硬直した保守性や農薬売り込みに疑いを持たない思考停止にたびたびうんざりしていたので、これは快挙だ。
 農協の抜本的な改革につながる一つの手がかりだ。

          
 自民党の農協改革に野党は説得力ある対案を出せないでいるが、「連合」も硬直した労働組合を自浄できるだろうか。
 右も左も大きな組織になると時間とともに退廃していく。
 それを変えていくのは小さなチカラからだ。
 
                                  
 それは自らを客観化し内面を観照する作業を常に怠らないことだ。
 羽咋市農協の勇気が永続していくことを祈るばかりだ。
 それはオイラの日々を勇気づけることにつながる。
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中日新聞が健闘した元日号

2017-01-04 19:07:42 | 意見・所感
 元旦に各新聞を読むのが恒例だったので、ムラに1軒しかないコンビニに20分かけて買いに行く。
 しかしみんな売り切れてしまったので、引き返すわけにいかず山を越えてマチに行くことにする。
 ところが、途中で新聞販売所が開いていたので駆け込んでみたら、毎日・読売・産経・中日・静岡の五紙を一気に入手できた。
 新聞をとっていないので久しぶりの活字と臭いが飛び込んでくる。

                               
  各紙の1面の記事は次の通りだった。
 毎日/「多文化主義の危機・トランプと世界」~白人優越タブーを正当化の懸念
 読売/「中国海底に命名攻勢・日本のEEZ周辺」~海上だけでなく海底も権益拡大
 産経/「小池知事都議選に30人超・自民に刺客新党準備」~平成の即位礼から宮内庁の壁と闘う新天皇
 中日/「GYOUZA・浜松から世界へ」~餃子製造機械や店が世界に加速
 静岡/「東海地震想定見直し提言・大震法、国方針公表4カ月前」~議事録記載なしをスクープ
  1面トップ記事がこれほど違うのも珍しい。

                                
 「混沌の時代に、私たちの確かな羅針盤を持ちたい」と「軸足を定める」重要性を提起したのは一面の「毎日新聞」。
 動乱・不寛容・排外的な絶望が蔓延する世界に対し、「自由や寛容の精神を高く掲げ、外の世界と共生する道を歩」み、「世界の良き未来像を提示すること」と「希望を持って前へ」と熱っぽく訴えているのが印象的だ。
 社説より説得力があった。
 安倍首相の年頭所感を全文載せたのはやはり「産経新聞」だったが、一面掲載の論説委員長の「自ら針路を切り開く」という論調は首肯できる。

    
 「中日新聞」は、憲法9条の戦争放棄・戦力不保持の精神を盛り込んだ「地球憲章」実現のムーブメントがあることを掲載している。
 社説では、「不戦を誇る国であれ」として、「国は過ちを犯すことがある」ので、「国民には冷静な目と分析がつねに必要だ」と強調する。
 そのために、ノルウェイの「オスロ国際平和研究所」のように武力によらない平和実現、「世界に貢献する日本の平和主義」を掲げる。
 格調高さと提言にあふれた社説は五紙の中では群を抜く。 

                                     
 いつもヒステリックな論調だった「読売新聞」の社説の今年は穏やかだった。
 相変わらず長い社説だが内容の大半を世界情勢に費やし、肝心の国民への提起や決意が腰砕け。

 「静岡新聞」は、「絶望のなかにも希望はある」と昨年101歳で亡くなったジャーナリスト「むのたけじ」の言葉を引用して、「冷静に事の理非を判断する態度」が肝要で、「理性を働かせて半歩でも前に進みたい」と次代に訴える。

 一面に掲載されていたエッセイ「大自在」はボブ・ディランのわが子への願いを歌詞にした「フォーエバー・ヤング」を紹介。
「他人のために生き、他人からも恩恵を受けられますように」、「正義を愛し、正直に生きる子に育って」と引用するとともに、その精神を絵本にしたのが日本在住の詩人アーサー・ビナードの「はじまりの日」。
 世界的な混沌の時代、ディランの「無垢な魂への祈り」の歌が響きますようにと結んでいるのが美しい。
 
          
 
  
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