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山里に生きる道草日記

過密な「まち」から過疎の村に不時着し、そのまま住み込んでしまった、たそがれ武兵衛と好女・皇女!?和宮様とのあたふた日記

内山真龍という国学者がいた

2015-03-11 22:26:46 | 歴史・文化財
 天竜・二俣の「清龍寺」の次に向かったのが、浜松市立「内山真龍資料館」だった。
 資料館の周りに「内山」姓が多いのに気がついた。
 資料館は大谷村の名主だった真龍(マタツ)の生家でもある。
 いままで行きたいと思っていた施設でもあるが、農道を道路にした狭い道の奥にあった。

     
 農民でありながら学問好きだった真龍は、国学者賀茂真淵に入門する。
 国学は古事記・日本書紀・万葉集など天皇を中心とする「やまとごころ」を日本のよりどころとした思想だ。
 真龍は、国学研究だけでなく絵画や「遠江国風土記伝」などを著す。
 北遠は、全国の中でも国学が盛んな地域で幕末では倒幕に貢献する。


                       
 近くを歩いてみたら真龍の神社を発見。
 村落からはかなり尊敬された人物だったようだ。
 1740年生まれというから、徳川吉宗とか田沼意次らが登場する江戸中期となる。

         
 館内の展示物は二俣商店街の宣伝ポスターや「山東(ヤマヒガシ)」村の文書があり、きわめてローカルな内容だった。
 説明を聞くとそれぞれの意味がわかるが、フラッと入館すると資料の意味がわかりにくい。

                    
 地元の歴史を発掘していくということでは貴重な施設だが、今後の行政改革では厳しい立場に追い込まれるかもしれない。
 島崎藤村の「夜明け前」の主人公が庄屋であり国学思想の持ち主(藤村の父親)でもあったので、江戸後期のどこかで真龍たちとと接点があったかもしれない。



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家康の嫡男信康の菩提寺「清龍寺」に行く

2015-03-10 18:26:27 | 歴史・文化財
天候不順な一日だった。
 霰が降ってきたと思っていたら、寒風に煽られて小雪が吹きすさぶ。
 きゅうきょ夕方から、薪づくりしてからダルマストーブにはりつく。

 先日、天竜二俣の「清龍寺」で行われた講演会に行ってみた。
 講師は元高校教師で民間宗教に詳しい横江良正さん。
 仏教の経典をいろいろ紹介してくれたが、ギリシャ哲学から現代政治までふつふつと知識が飛び出していくのに驚愕する。

    
時間があったので、寺の庭を散策する。
 そこには見事な「十六羅漢」像が配置されていた。
 新しいとはいえ、実に精巧な石像だ。

                          
 「五百羅漢」はときどき見たが、「十六羅漢」に出会うのは初めてだ。
 それぞれに名前があり、釈迦の代表的な高弟だそうだ。
 キリスト教にも似たような弟子がいたっけ。
 顔が日本人離れしている。
 仏像は生硬な固さがあるが、この羅漢の自由さを見るとホッとする。

   
ちなみに、当清龍寺は、家康の息子「信康」が家庭内騒動により信長から切腹を命じられて、その菩提寺となったのがこの寺だ。
 ドラマで出てくるようなそんな歴史上の寺が身近にあるのは興味深い。
 
                  
 当地に馳せ参じたのも「二俣めぐり」企画のおかげだ。
 残念ながら企画は「よそ者」だったが、 こうした町おこしイベントが地域主体のものになっていくよう願うばかりだ。
 十六羅漢さんも応援しているよね。  
  
 
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天狗信仰と尾張屋旅館

2015-03-09 22:59:04 | 歴史・文化財
 7日の午後、天竜二俣の尾張屋旅館で「天狗信仰」の講話を聞きに行く。
 講師は秋葉山三尺坊権現講本部長の早瀬さん。
 天狗には各地域毎に謂れと格式があると言う。
 話は講談調で面白いが世俗的だ。

                    
 ただし、霊視して書きあげた天狗絵を展示していたがなかなか迫力がある。
 山岳信仰と天狗との関係は深い。
 実際、秋葉山の灯篭にあるマークは天狗の内輪になっている。
 
     
                
 材木業者が賑わった往年の痕跡が街なかに今もなお残っている。
 会場となった「尾張屋旅館」は江戸末期1857年創業の老舗だ。
 建物内のちょっとした建具にジャポニズムが顔を出す。

                 
                 
       
 日本のデザインの洗練さが室内外にそれとなくあるが、気がつく人は意外に少ない。
 講演会は、NPO法人「楽舎」主催の「昭和レトロの二俣めぐり」の一端であったが、さびれつつある街をぐらぐらと揺さぶったのは確かだ。  
                    
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山里の凛々しいお寺で

2015-03-08 21:56:48 | 歴史・文化財
 昨日のコンサート打合せの後、雨プロ会場として予定している近所の「長命寺」に行く。
 コンサート雨プロ用の会場として快諾してくれたお寺の姿勢がありがたい。

          
 狭い山腹にある境内から長蔵寺地区の眺望がまたすばらしい。
 そこにはつつましい山里のたたずまいが溶け込んでいる。
 それは自然と人間の暮らしとの調和が見られる。
 都会のコンクリートジャングルの無機質な空間は人間様中心主義である。

                      
                 
 建物の周辺には銅版の見事な彫金が施してあったり、派手ではないが曹洞宗らしいデザインも散見される。

 
 庭の石組みや石灯籠もそれとなく配置されていて、過疎の山里にしては旺盛な精神がこめられているとみた。
 世俗にこびた寺とは違う静謐が漂う。

    
                      
 室内にもお邪魔させてもらった。
 100人くらいはちょうど収まる広さもあり、雨プロもいいなと思ってしまう。
 豪華な天蓋といい、ケヤキの彫刻といい、室内もピリリとした異空間を保持している。

 ちなみに、長蔵寺というお寺は古にはあったが今はなく、地域名のみ残っている。
 過疎の山里にはまだまだ宝が残っている。
            
 
                    
                    
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山城をまちおこしに

2014-11-24 22:14:38 | 歴史・文化財
 天竜高校春野校舎で開催されている「戦国山城まつり」に参加する。
 イベントとしては犬居城見学、講演・シンポ、秋葉山ウォーク、アート工房バスツアー、演武、スタンプラリーと多彩だ。
 犬居城主だった天野氏の末裔、天野忍さんの講演「犬居城の盛衰と天野氏のその後」を聴く。

      
 天野氏の経済的基盤は、木材、林産物、お茶などで、安土桃山時代にはお茶がすでに年貢として納められている。
 天野氏を支えた「同心衆」は、砂鉄生産の胡桃平・渡辺氏、馬放牧の花島・花島氏と尾上氏がご三家だった。
 その名残が地域に地名や苗字に残っている。
 家康に敗れた末裔は広島県福山に健在だそうだ。

                  
 参加者は200人以上はいただろうか、おじさんたちの熱気が伝わってくる。
 しかし、次のシンポジウム「地元の資源を活用した地域活性化」となると50人くらい淋しい。
 知的好奇心は旺盛だが、現代の直面する課題には無関心なように思える。

                   
 シンポジウムでは、学生とともに過疎を訪ねる静岡文化芸術大学の舩戸修一さんの謙虚さと空き家を生かした提言が光った。
 また、兵庫県篠山市の創造農村の取り組みの方針には目を見張るものがある。
 地域が持つ資源を生かす取り組みへの方針が明確だ。

   
 このシンポを聞いてみてわかったことは、行政も関係機関・団体も、直面する課題に対して明確な方針を持っていないということを痛感する。
 会場となった高校の「立志館」の名前のとおり、課題を解決する「志」がないということだ。

 言われたことをこなす、上意下達でこの国・地域はなりたっているのだ。
 その意味で篠山市の「創造農村」のネーミングは深い。

                 
 高校から見える「犬居城」の盛衰から何を学ぶべきだろうか。
 戦国時代までは、山が文化・生活の中心だったという指摘にハッとする。
 山城だらけの春野はその地域資源をもっと生かすべきではという意見に納得する。
 参加者に春野在住の人が少ないところが象徴的だ。

 方針を明確にしてそれを官民が共有し具体化していくこと、につきると思った。
 ちなみに、主催者である浜松市文化財課の創造的なフットワークと「協働」を具体化している方針、歴史と現代的課題をつなげようとしている努力をおおいに評価したい。
    

  

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安土桃山様式の遺構を示す「鳥羽山城」

2014-03-29 22:51:07 | 歴史・文化財
 今年の2月に天竜二俣町の「鳥羽山城」が浜松指定史跡となったのを記念した見学会に参加する。
 戦国時代の山城は土がむき出しだったのが、安土桃山以降、石垣が多用されていく。
 自然石をそのまま積んでいく「野面(ノヅラ)積み」が見られる。
 大きな石どうしの隙間に丸石(間詰め石)を配置し、それがアクセントにもなっている。

        
 近世になってからの石垣は人工的な技術革新が飛躍していくが、そこへの移行形態が見られるのが見所というわけだ。
 岩盤はそのまま使うなど自然の地形に合わせて石を積んでいるのも見られた。

                    
 大手門への道は幅6mという当時としては破格の広さでしかも真直ぐなのは、安土城と同じように、石垣と本丸の堂々たる権威が、登城するものを圧倒する効果をねらっているという。

     
 上の石垣には石灰岩を多用することで、下から見ると白い石垣が目立つ工夫がされている(鉢巻石垣) 。
 下の石垣は「腰巻石垣」があり、遠くからは2段の石垣が見えたという。

                 
 「本丸」隣には、枯山水の庭石も発掘されており、対岸の「二俣城」の実戦的軍事的機能からこの鳥羽山城は政治・外交的城郭への転換を示す典型が認められるという。

         
 「鳥羽山城」は、1560年代の「桶狭間の戦い」のころ築城され、しばらく武田・徳川の攻防があり、家康の関東転封後、豊臣系の堀尾氏によって近世的改築がなされた。
 こうして、西国の安土桃山様式の築城が東海にも出現していくわけだ。

 こうした視点から山城を見てみると納得がいく。
 石垣そのものにも深い意味があることを発見できたのがうれしい。
 
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天宮神社の石塔・歌碑・寺

2014-01-22 20:40:18 | 歴史・文化財
 森町天宮神社境内に移築された石塔がある。
 高台にあった「地蔵山」が開発され、近くの古墳石室に使われていた「天宮砂岩」で作られたという。
 そこの豪族の墓は、6世紀に筑紫の「磐井の反乱」でヤマトに敗れた一派が森町に流れたのではないかというのがオイラの独善的推理だ。

 その石塔には四方に「空・風・火・水・地」の文字が刻まれていて、それは密教でいう世界はこの5元素からなるという仏の教えだ。

                   
 正面だけ「大日如来」の字が入っている。
 この石塔は正方形の壇の中央にある「大壇」で、江戸時代の初期(延宝2年、1674年)の大壇石塔だ。
 いわゆる「五輪塔」を一つにまとめたものだ。
 同時にそれは男根を現し、背後に女陰石が見えるが、これらのことから、生命の原点、万物の豊穣、子孫繁栄の願いをおおらかに表現している。

     
 境内の中ほどには、歌人で国学者の佐佐木信綱博士(号は竹柏園)の歌碑もあった。
 いかにも由緒正しいエリートが謳った和歌だ(「天の宮神のみまえをかしこみと 千とせさもらふ竹柏の大樹は」)。

 石碑はとても解読できないくらいボロボロだった。
 「ナギ(竹柏)」が縁(竹柏会を明治31年主宰)で、昭和29年4月にこの神社を参拝して詠んだ。

                    
 帰ろうとしたら、「神宮寺」という碑を発見、その後ろに廃寺らしきお寺があった。
 廃仏毀釈の影響だろうか。
 屋根側の壁にはいくつかの穴が開いていた。
 人間にとってはうら寂しいが、きっとムササビにとってはアットホームだろう。

 ここは国の重要無形民俗文化財に指定されている12の舞からなる「12段歌舞」の練習場になっているらしい。

  
 神社の静謐なたたずまいは、人間の喜怒哀楽の歴史物語が刻まれている。
 表向きの顔だけではなく、その底流に流れる片鱗を境内から汲み取らなければならないとかねがね思う。

 近世から現代まで、神社も寺院もあまりにも歴史に従属されている。
 仏教で言えばもう一度、鎌倉・戦国仏教の自立精神に学ぶべきではないかと。
 そのときの宗教者は、哲学者であり、まちプランナーであり、医療福祉カウンセラーであり、なによりも人間いかに生きるべきかを民衆に提起していた。
 そうした息吹が現代の寺社には見事に抹消されている。
 
 
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森町の天宮神社のルーツは

2014-01-21 23:16:05 | 歴史・文化財
  森町に貫流する太田川近くの「天宮(アメノミヤ)神社」に行く。
 銅板に覆われた鳥居が参拝者を威圧する。
 この神社は筑紫の宗像神社の三女神を祭神とする。

                    
 女神の名前は、「田心姫(タゴリヒメ)」「湍津姫(タギツヒメ)」「市杵嶋姫(イチキシマヒメ)」という今まであまり聞かない名前だった。
 日本と朝鮮・唐との重要な海路の神様だという。

   
 山の中に海の神様と言えば、筑紫から追われた長野の安曇族が想起される。
 ひょっとするとここの神社のルーツも、大和との利権に敗れた一族が流れ着いて創建したものではないかと推理してしまう。

               
 境内の片隅に「十五珊弾丸」という石碑があった。
 日露戦争の勝利記念に陸軍省が戦利品かまたは帝国陸軍オリジナルかわからないが、砲弾を奉納したのではないかと思われる。
 こういう代物は観光案内には紹介されず、ひっそり過去の栄光を背負っている。

    
 また、ここの神社の祭りで迷子になったという「森の石松」の石碑も、参道に背を向けて立っていた。
 ルーツはどうあれ、交通の要所に位置した天宮神社は、徳川幕府の庇護のなかで近隣への「にらみ」をきかせていく。
 つまりは、権力の片腕を担い、うまくとりこまれていく過程の歴史ということかもしれない。

   
 樹齢1000年という「ナギ」の神木が見事だ。
 なかなかこれだけの太い「ナギ」は見たことがない。
 
 神社の中に刷り込まれた歴史の片鱗から、アニミズムの原点と歴史に翻弄されてきた宗教との相克が垣間見える。

                       
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茅の輪くぐりと門松

2014-01-08 21:32:34 | 歴史・文化財
 初詣で見た神社の「茅(チ)の輪くぐり」は、大宝律令で制定した宮中神事だそうだ。
 これはいわゆる「大祓(オオハラエ)」で、6月にやる「夏越」と12月の「年越」があり、罪の禊と疫病防止を目的としている。

      
 この輪をくぐる正しいくぐり方があるという。
 正面からくぐって左まわり、正面から右回り、正面から左まわり、と3回くぐるのだ。
 つまり8の字まわりだ。
 参拝者が多いと実際は1回ですますことになる。

 大宝律令前後の時代は、骨肉争う権力闘争があり、勝ち組も相手の祟りを怖れてこうした神事をつくったのが真実かもしれない。

                         
 道の駅「花桃の里」で見た「門松」が興味深かった。
 竹・クマザサ・松・千両・ダイダイなどで構成されていたが、そこに「炭」が飾られていた。
 橙は「代々子孫繁栄へ」という意味合いがわかるが、「炭」がわからない。
 調べてみたら、「お清め」「魔除け」の意味があるらしい。

 丁寧な手づくり門松が気に入った。
 朴訥な「花桃の里」の方々の心づくしが思い出されてきた。
 
 
   
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初詣で寺社めぐり

2014-01-02 20:45:04 | 歴史・文化財
 娘二人と久しぶりに初詣に行く。
 数万人規模の初詣の寺社ではなく、アニミズムの原点であるしっとりとした空気を感じたいと近所の寺社をめぐることにする。

  
 とあるお寺で「延命十句観音経」が書いてある塔を見つける。
 そこには「一鐘一周一心祈願」と書いてあり、鐘をつき車輪を回しながらその周りを歩きながら仏とともにあることを祈願するというわけだ。
 
                     
 そのそばには、「おびんずるさま」(お賓頭盧さま)という釈迦の弟子で16羅漢の一人の石像があった。
 色が派手なのが気になるが、自分の体の悪いところと同じ所を撫でると治るという。
 胃の調子が悪いので胃の辺りを撫でてみる。
 お寺によって経営感覚の差が大きいのを感じる。

     
 神社には神輿が飾ってあった。
 これこそまさに日本の「技」の極意が込められている。
 木工・金工の両方の粋を見る。

                       
 その隣にひっそりと「皇威宣揚」の扁額が乃木希典の字で彫られていた。
 この発想は大和朝廷から現在まで続いている。
 戦前は神社がその精神的支柱の尖兵として戦争に利用された。
 しかしそれを自省する神社の発信をみたことがない。

 娘たちは「ご朱印帳」でラリーを楽しんでいるが、できれば日本の歴史の中で寺社が果たしてきた功罪をわかってもらえればいいのだが。
 と親ごころは複雑と希望とがカオスを泳ぐ。  
     
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