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工芸・技術博物館。

2007-02-24 04:25:20 | 美術・音楽
フランス語では“musee des arts et metiers”、さまざまな工芸品、工業製品が3,000点以上も展示され、それぞれの歴史・変遷が手に取るように分かる展示になっています。


外観はいたって平凡なのですが、中にすごいものがずら~ッと揃っています。

この博物館を有名にしているのは、何といっても、フーコーの振り子。ウンベルト・エーコの同名小説でご存知の方も多いと思います。地球が自転していることを証明するためにレオン・フーコーが行った振り子の実験。地球の自転により振り子の回転方向が少しずつずれていくというもので、一般公開実験は1851年1月8日にパンテオンで行われました。見学コースの最後で、その実験を再現してくれています。

確かに振り子が一定の間隔で盤上の短い棒を倒していくことで、自転により振り子の方向がずれていっている事が分かります。もちろん今実験に使っているのは複製で、本物のフーコーの振り子は、ガラスケースに入って展示されています。

小説の舞台になり、また実験に使われた「フーコーの振り子」の実物が展示されているのがこの博物館というわけです。なお、この実験、日本のいくつかの施設(科学館など)でも行っているそうです。

この博物館のもうひとつの目玉は、人類初の動力機付き飛行機。人類で初めて飛行に成功したのはライト兄弟、と言われていますが、フランスでは別の人物になっていることもあります。その人の名は、クレマン・アーデル。ライト兄弟より6年早く、1897年10月14日、動力機付きの飛行機で数センチ浮上し、300m先に着地。

これがその「飛行機」。しかし、彼を資金面も含め支援していたフランス陸軍省自身が、これは跳躍であり、飛行ではないと結論付けたため、失意のうちに、改良を諦めてしまったそうです。残念。形状のモデルをコウモリにしてしまったあたりが失敗の大きな原因とも言われています。なお、彼の飛行機の名前は、アヴィオン号。フランス語でavion、そうです、飛行機を意味するフランス語の語源になっています。

フランス人は、どうも昔から空を飛ぶことに大いなる憧れを抱いていたようです。熱気球をはじめて飛ばしたのもフランス人のモンゴルフィエ兄弟。1782年で、翌年には初の有人飛行。ロジェとダルラントという二人の勇敢な若者による25分間の冒険だったそうです。アヴィオン号の後も、ライト兄弟に先を越されたとは言うものの、ヨーロッパ初の飛行、初の英仏海峡横断飛行、世界ではじめて二人乗りの飛行など、すべてフランス人の偉業(国籍が外国の人も含まれますが、フランスに住んで偉業を達成すれば国籍に関係なくフランス人の偉業と言い切ってしまうのがフランス流です)。なお、二人を乗せて飛んだアンリ・フォルマン号は、1910年に徳川大尉という人が日本ではじめて飛行に成功した際に使った機体だそうです。

これが英仏海峡を横断飛行したブレリオ号。ルイ・ブレリオによって、1909年7月25日に達成されたそうです。

これら以外にも、あっ、懐かし~、というものや、昔の記録映画や本で見た事がある!というものがいっぱい。世代によって感慨も違うでしょうが、面白いモノが目白押しです。






上の写真はいずれも初期のものばかりですが、実際には、それぞれの技術を発明時から現代まで、その進化が分かるよう多くの製品で丁寧に展示しています。科学用具に始まり、材料、建設機器、コミュニケーション・ツール、エネルギー関連、工作機械、オートメーション化、交通・・・どんなに駆け足で急いでも3時間。できれば丸一日かけてじっくりと見たいものです。


最寄の駅は、メトロ11号線・3号線の「Arts et Metiers」(アール・エ・メティエ駅)。駅からして、工芸技術のプラットフォームになっています。

www.arts-et-metiers.net

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