松吉の家にびんぼう神が住みつき、家はみるみる貧しくなっていきます。
ところが松吉は悲しむどころか、なんと神棚を作ってびんぼう神を拝みはじめました。
「なんで嫌われもんのわしを?」不思議がるびんぼう神はやがて…
という内容らしい。
レビューには、人間のあたたかさとか泣けるという言葉があって、
深く考えなかったけど(私の場合はいつもそう)面白そうだったので注文。
やがて届いた本には、いかにも貧乏神らしい、
痩せてぼろをまとった貧相なおじさんが表紙を飾っておりました。
アラーッ、これはこれは…。
でもなんか親しみというか(笑)、こんな方に親しみを感じては困るんですが、
かといって、どうも我が家に福の神がいるという気配もないしなぁ~。
しかし、ページをめくった途端、思わず読み出してしまった。
《なんでわしは神様って呼ばれるんじゃろ?》
この家に来てから、今まで考えたこともないことでびんぼう神は悩んでおった。
貧乏神は、住み着いたその家が貧乏になっていくのが楽しみで、
貧乏への不平不満、愚痴を聞くのが大好きなのに、
松吉と嫁は貧乏でも楽しんで、ますます仲良く暮らすので面白くない。
しかも、松吉が
「うちにはびんぼう神さんしかおらんようじゃが、
家族が仲良く暮らせるのは貧乏神さんのお陰かもしれん」といって、
粗末な神棚を作り拝み始めた。
いや、さすがに貧乏神を拝む勇気は(笑)私にはございませんでしたが、
そう言われてみれば貧乏神は神様なんですよね。
なんで神様なんですかね?
住み着いた家を貧乏にする力があるから神様というわけでもないでしょう。
ほんと、これは深い問題です。(笑)
自分はどうしたら神たるのか、
悩んだびんぼう神様は福の神に相談すると、
福の神も困って大神様に聞いてみたらいいという。
そこでびんぼう神は大神様のところに行く。
大神様は
「お前さんはわたしと同じ神なんじゃぞ。下っ端も上も無い、良い神も悪い神も無いのじゃ。
そのことだけは覚えておくがよい。
そうすれば自ずと何をすれば良いかわかるはずじゃ。
今までどおり他のびんぼう神がしているように、あの家を貧乏にし続ければ良い。」
という。
大神のところから戻ったびんぼう神は、自分なりにこの家族を守ろうと思う。
うーん、貧乏神に守られてるってのは…。
でも、これもありがたいことなんですよ、きっと。
この後、びんぼう神さまは松吉と嫁の一粒種、うし松のために
疫病神と喧嘩をし、死神に泣きついて大奮闘します。
この辺で、つい泣けました。
貧乏神なんてとんでもない。
絶対イヤ、来ないでー!!と拒絶すればするほど、心は貧乏神に囚われて行く。
この貧乏があって今の私があるのねって思えるようになると、
守ってくれるのかもしれません。
まあ、貧乏は貧乏なりに、ですけど。(笑)