草枕犬もしぐるるか夜の声 芭 蕉
「夜の声」は、物音一つしない時雨(しぐれ)の闇の底から、夜そのものの声のように鳴く声という心で、いかにもその境にかなった用語である。
「しぐるるか」の「か」は疑問であるが、深い感動がひそめられている。わびしさの中に、やわらぎのある用語で、対象の中に滲透して把握されたたしかさが感じられる。
「草枕」は、ふつう旅の枕詞として使われる語であるが、ここでは旅寝の意。
「しぐれ」の句で冬季。
「宿に旅寝していると、時雨が旅寝の心を寂しくさせる。あたりの闇は時雨
のわびしく過ぎゆく音ばかりであるが、その中から犬の遠吠えが聞こえて
くる。犬も、この時雨にあって、寂しさに堪えかねて夜の底にあのように
鳴いているのであろうか」
夜の大門ぬけて小さき熊手買ふ 季 己
「夜の声」は、物音一つしない時雨(しぐれ)の闇の底から、夜そのものの声のように鳴く声という心で、いかにもその境にかなった用語である。
「しぐるるか」の「か」は疑問であるが、深い感動がひそめられている。わびしさの中に、やわらぎのある用語で、対象の中に滲透して把握されたたしかさが感じられる。
「草枕」は、ふつう旅の枕詞として使われる語であるが、ここでは旅寝の意。
「しぐれ」の句で冬季。
「宿に旅寝していると、時雨が旅寝の心を寂しくさせる。あたりの闇は時雨
のわびしく過ぎゆく音ばかりであるが、その中から犬の遠吠えが聞こえて
くる。犬も、この時雨にあって、寂しさに堪えかねて夜の底にあのように
鳴いているのであろうか」
夜の大門ぬけて小さき熊手買ふ 季 己