壺中日月

空っぽな頭で、感じたこと、気づいたことを、気ままに……

国展

2009年05月09日 21時06分32秒 | Weblog
 待ちかねていた電話がかかってきた。国画会彫刻部の大塚道男先生からである。

 昨日、国展の会場で行なわれていた彫刻部チャリティー作品の中に、欲しい作品があったので申し込んできた。
 今日、その抽選が行なわれ、西野慎二先生の作品「豊饒」が、当選したと知らせてくださったのだ。
 実は、西野先生のほかにも、西村公泉・杉浦裕二両先生の作品も申し込んだのだが、こちらは残念ながら、いや、当然ながら当たらなかった。クジ運の悪い変人にしては、一つでも当選したことは奇跡に近いことだ。
 「豊饒」は、ショルダーバッグに楽に入るくらいの小さい作品なので、明日、作品代金を用意して、チャリティー展会場へ行き、受取るつもりでいる。

 「第83回 国展」の感想を一言で言うと、「ツカレター!」。
 絵画・版画・彫刻・工芸・写真と5部門あり、作品があまりにも多すぎる。しかし、作品の質は“上”で、会員は会員らしく、一般公募の受賞作品も納得できるものであり、審査も厳正であるように思えた。
 ただ、準会員の作品が全体的に《おとなしい》ので、もっともっと暴れてもいいのではないかと思う。《ほっと一息》ついている様がうかがえるのが残念。高みを目指して、より精進されることを望む。

 絵画部では、稲垣考二先生の「観衆」がピカイチ。(国展のリーフ1面、先生のお名前「考二」が、「孝二」と誤記されている)
 「今年はどんな……」と、毎年、先生の作品は楽しみで、また、先生もわれわれの期待を裏切らない。
 国画賞受賞の2作品は、順当な結果であろう。ただ、新人賞10名の中には?のつく作品が数点あったが、これは個人個人の感性が違うので、仕方のないことである。

 版画部は、木版の作品に秀作が多かったのがうれしい。
 写真部は、ただ疲れだけが残った。それだけに、「国画賞該当者なし」は、審査員の良識が感じら、さすが国画会だと思った。

 彫刻部は、前述の3先生のほかに、数点の作品が印象に残っているのだが、肝心のお名前を失念してしまった。光輝高嶺でいたいのだが、どうやら本物の後期高齢者になってしまったようだ。

 工芸部へ来たときは、もう、ほとんど余力ゼロ状態。
 変人の、小学1年から4年までの担任が、沖縄出身の宮平千賀先生ということから、同姓の宮平初子先生の作品に注目してきたが、今年も《いい仕事》をなさっているのが喜ばしい。
 また、ガラスの「わらび紋ピッチャー」(森永 豊)も、さりげない作品だが新鮮さが感じられる。
 工芸部奨励賞の「胡桃漆飾棚」(松本行史)は、神経の行き届いた手の込んだいい仕事をしていて、心安らかになれる。身近に置いて、愛玩したい作品である。

 最後に要望を一つ。
 「再入場券」を渡してくれるのは、じっくりと全部の作品を観て廻る者にとり、大変ありがたいシステムである。
 願わくは、「招待券」(2名まで有効)持参の単身者には、期間中いつでも有効の「再入場券」を発行してもらえないだろうか。2~3度、観に行く者は非常に助かる。現在の「再入場券」を、赤丸をつけずに渡せばすむことなので、ぜひ、ご検討願いたい。


      一芸に徹し香水あはきかな     季 己