壺中日月

空っぽな頭で、感じたこと、気づいたことを、気ままに……

殿様ねぎ

2008年01月28日 21時08分42秒 | Weblog
 “日暮の里”は、かつて文人墨客のサロンであった。
 その一つ、西日暮里3丁目の養福寺へ行く。
 養福寺の見どころ№1は、宝永年間の建築と伝える仁王門であろう。
 裏側には四天王のうちの、広目天・多聞天の二像が安置されている。
 この仁王門は、『江戸名所図会』の「日暮里惣図」にも描かれている。

 文学碑では、「談林派歴代の句碑」、「自堕落先生の碑」、「柏木如亭の碑」が有名である。
 あまり知られていないが、珍しく貴重な石碑、「姸斎落歯塚」がある。(詳しくは、当ブログの12月の項をご覧願いたい)

 旧暦でいうと、今日は、12月21日。姸斎・津富の祥月命日である。つまり、落歯塚の主、姸斎・津富の210回目の祥月命日なのである。
 「姸斎落歯塚」の前で、般若心経、観音経、光明真言などを唱える。
 これが今日、養福寺を訪ねた理由だ。

 養福寺を出て、明日から三日間、ダイヤモンド富士が見られるという富士見坂を下り、武関竹篭店を覗く。
 谷中界隈を目的もなく歩き、そのまま徒歩で自宅まで帰る。いい散歩だった。

 郵便受にハガキが2枚入っていた。差出人は2枚とも、春日部のSさんだ。Sさんは画家である。
 なんで同時に2枚?
 裏返して、思わずニッコリ!
 縦に二枚ならべると、みずみずしく、うまそうな下仁田葱(ねぎ)になるのだ。
 表には、「寒~い毎日ですので、下仁田ネギであったか~くなって下さい」とメッセージが添えてある。
 下仁田葱は、群馬県下仁田町特産で、丈が短く、太い。生では辛味が強いが、煮るとやわらかくなり、まろやかな甘みがでる。鍋ものには欠かせない葱だ。
 
 葱には二つの系統がある。
 一つは、主に白い部分を食べる根深葱で、関東に多い。
 東京の千住葱、千葉の矢切葱、埼玉の深谷葱、群馬の下仁田葱などが知られている。
 もう一つは、緑の葉の先端部まで食べられるやわらかい葉葱で、京都の九条葱が有名。
 昔から、「関東は白、関西は緑」を食べる、といった食文化が出来上がっていた。
 近年は、人の移動や輸送方法の発達により、東西自慢の葱を、料理にあわせて使い分けるようになった。
 千住葱は古くから、根深葱の代表格であるが、味自慢のブランド葱の横綱格は、下仁田葱。徳川幕府に献上して、天下一とほめられ、“殿様ねぎ”とも言う。
 葱には、身体を温め、疲労回復する作用、ビタミンB1の吸収力を高める働きがある。
 

     絵手紙の葱あつたかくなりなされ     季 己