壺中日月

空っぽな頭で、感じたこと、気づいたことを、気ままに……

似た者同士

2008年02月08日 21時56分02秒 | Weblog
 馬喰町で都バスを下り、散歩を始める。
 新日本橋、日本橋三越、高島屋、京橋、銀座とひたすら歩き続ける。
 銀座の画廊宮坂へ着いたときには、うっすらと額に汗がにじんでいた。

 一人いた常連客が帰ったあと、宮坂さんとしばらく雑談。
 長谷川潔の作風の変遷、オークションの話、片岡球子の60歳代の作品…と、話は尽きない。
 “石の画家”といわれる地主悌助に話が及べば、白洲正子、小林秀雄、坂本繁二郎の名まで出てくる。さすがプロ。よくご存知だ。非常に勉強になる。

 そこへ常連さんが見える。大月の某住職さんだ。
 所用で所沢まで来たので寄った、という。所沢から銀座では、寄ったというより、わざわざ足を伸ばしたのではないか。これまた“さすが”。
 ここで、本格的コーヒーをいただく。“おいしい”ではなく“うまい”。
 「似た者同士というのは、何か縁があるのかな。必ず偶然のように出会うが…」と、宮坂さん。
 某氏は、サラリーマンから僧籍に入られたという。わたしは30代で得度している、いわゆる在家出家だ。たしかに性格、信条、趣味まで、某氏と似ている。
 天上で神様が、我々人間を、操り人形のように操っているのではないか、という結論が出たところで、画廊を辞す。

 来た道を高島屋まで戻る。
 「坂部隆芳展」と「加藤康景 作陶展」を、また観る。
 加藤先生に2~3質問をして、詳しく教えて頂く。
 今日も念入りに拝見させていただいたが、やはり素晴らしい。<晩年の宮本武蔵>の喩えに間違いないことを再確認。
 「もう一度、遊びに来ます」と先生に言って、会場を出る。

 散歩はここまでにして、地下鉄で帰る。
 東田茂正先生から、大型郵便物が届いていた。
 「東田茂正展」の案内状と私信も入っている。
 私信はいつものように、巻紙に達筆な筆で書いたものだ。
 東田先生は、現代の織部、志野を追求する陶芸家である。
 土肌を生かした力強い造形に、変化に富んだ色合いが印象的な織部や、たっぷりと厚くかけた真っ白な釉薬が豊かな表情をたたえる志野を中心とした展観になるようだ。
 2月14日(木)~23日(土)、銀座和光・並木館5階、和光並木大ホール
 「東田茂正展」おすすめです。もちろん私は、初日にかけつけるつもり。


     似た者の寄り来る画廊あたたかし     季 己