壺中日月

空っぽな頭で、感じたこと、気づいたことを、気ままに……

枯草

2009年12月06日 22時45分40秒 | Weblog
          霜の後(のち)葎(むぐら)を訪ひて
        花皆枯れて哀れをこぼす草の種     芭 蕉

 知的な計らいが入っている句である。
 「哀れをこぼす」は、一つの知的傾向としてはおもしろいのだが、これが緊張感を失うと、その弊害はとどまるところをしらぬことになる。
 「こぼす」は、「哀れ」・「草の種」の両方にからませた表現。
 「草の実(草の種)」は秋であるが、ここは霜の後であるから、実質としては「枯草」の句で、冬季。

    「霜が激しく降りた後、葎の生い茂っていた園のあたりを訪ねてみると、
     秋草はすっかり枯れ果て、ただ草の種がしきりにこぼれている。そのさ
     まは、まさに哀れをこぼしているもののように見える」


      枯草の川の走りをにぎり飯     季 己