薬盗む女やは有るおぼろ月 蕪 村
「おぼろ月」の妖しいほの明るさによって、天上界と地上との差別の意識がなくなり、伝説の世界と現実の世界との差別の意識も薄くなったのである。おぼろ月夜の一面の特性がたしかにとらえられている。
「薬盗む女」は、『淮南子』に見える故事で、次のようなものである。
羿(げい)という男が、不死の薬を西王母から請い受けた。ところが、
その妻が盗んでその薬を飲み、仙女となって月の宮に勢いよく駆け上った。
月に住む「ジョウガ」というのがそれである。
「女やはある」の「やは」は、本来は「女があるだろうか、いや、ありはしない」と、反語として否定の意になる。しかし、ここでは、「やは」という音によって、「女もあらん」「女あるらん」という、意味を強めるのに使われている。
季語は「おぼろ月」で春。
「おぼろ月夜で、天界も下界も一つになり、ほんのりと明るい。夫の手から
秘薬を盗んだ女が仙女と化して上天したのが、あの月だと言い伝えられ
ているが、今晩など、そういった女がそこいらにも潜んでいるような気が
することだ」
清明や念珠をはづしCTへ 季 己
「おぼろ月」の妖しいほの明るさによって、天上界と地上との差別の意識がなくなり、伝説の世界と現実の世界との差別の意識も薄くなったのである。おぼろ月夜の一面の特性がたしかにとらえられている。
「薬盗む女」は、『淮南子』に見える故事で、次のようなものである。
羿(げい)という男が、不死の薬を西王母から請い受けた。ところが、
その妻が盗んでその薬を飲み、仙女となって月の宮に勢いよく駆け上った。
月に住む「ジョウガ」というのがそれである。
「女やはある」の「やは」は、本来は「女があるだろうか、いや、ありはしない」と、反語として否定の意になる。しかし、ここでは、「やは」という音によって、「女もあらん」「女あるらん」という、意味を強めるのに使われている。
季語は「おぼろ月」で春。
「おぼろ月夜で、天界も下界も一つになり、ほんのりと明るい。夫の手から
秘薬を盗んだ女が仙女と化して上天したのが、あの月だと言い伝えられ
ているが、今晩など、そういった女がそこいらにも潜んでいるような気が
することだ」
清明や念珠をはづしCTへ 季 己