壺中日月

空っぽな頭で、感じたこと、気づいたことを、気ままに……

菜の花

2010年03月01日 21時16分38秒 | Weblog
          吟 行
        菜畑に花見顔なる雀かな     芭 蕉

 菜畑の雀の様子に、人間に通じたものを感じとって、「花見顔」といったのである。実に温もりのこもった作で、雀に対して、静かに愛情の傾いていった感じがある。素直に興じつつ、愛情ふかいまなざしが出ていると思う。小動物を生かした可憐な小品の味は、心をひかれるものがある。

 「吟行(ぎんこう)」は、句を作るために山野を歩きまわったり、名所旧跡に出かけてゆくこと。
 菜の花の句で春。「花見」も季語であるが、それは桜の場合で、これは菜の「花見」である。

    「咲きそろった菜畑の間を、楽しげに飛びまわっている雀の様子は、いかにも、花見でも
     しているといった顔つきである。何とも愛くるしいことだ」


      お台場の空の菜の花明りかな     季 己